それでも、やはり目立つのは経済協力である。1993年6月には、貿易経済および科学技術協力に関するロシア・アルジェリア共同委員会を樹立する合意がなされ、現在に至るまで何度か開催されてきた。
2001年にはロシアのロスネフチがあるゼリアのイリジで油田・天然ガス田の開発を開始し、後にパイプラインも敷設した。また、イリジではロスネフチとアルジェリアのストロイトランスガス社の合弁事業も動いている。ストロイトランスガス社は2003年にアルズーにパイプラインを建設するなど、アルジェリアで様々なプロジェクトを繰り広げているが、大部分をロシアが負っている。
また、2006年にアルジェリア国営炭化水素株式会社(ソナトラック社)とルクオイル社は炭化水素に関する相互協定を締結している。さらに、同年、ガスプロムも液化天然ガス事業で合弁事業の交渉を開始し、その後、エラセル地区でのエネルギー開発を進めている。
このように、エネルギーに関する協力体制は政府レベルから民間レベルに至るまで密接に構築されてきた。ロシアはエネルギー開発において、着実にアルジェリアに食い込み、アルジェリアにとっても重要な国だというポジションを確立したと言える。
また、全般的な貿易高も確実に伸びており、ロシアの税関報告によると2010年の両国の二国間貿易は13.37億ドルである。ロシアは石油関連製品に加え、穀物、金属、パルプ、工作機械、兵器などを輸出してきた。さらに、アルジェリアのダム、トンネル、水路などのインフラ整備にも進出している。
アルジェリアはロシアにとって重要な軍事顧客
軍事協力については、たとえば、2006年2月の報告によると、ロシアのアルジェリアに対する武器輸出額は40億ドルに及ぶ。2004年と2005年のロシアの「全」武器輸出額が50~60億ドルだったことに鑑みれば、アルジェリアがどれほどロシアにとって重要な軍事顧客であるかが分かる 。
そして、2006年にロシアのプーチン大統領はアルジェリアを訪問。貿易、経済・財政協力などの政府間合意に加え、同国に対する債務帳消しや税制優遇など、アルジェリアにとって非常に歓迎すべき多数の合意が結ばれた。また、その際、75億ドル分の戦闘機、戦車、防空システムを含む兵器供与に関する協定に合意した。そしてMiG-29SMT戦闘機34機(ただし本契約は部品の品質に問題があるとして、2008年に破棄された経緯がある)、Su-30MKA戦闘機28機、Yak-130練習機14機, S-300地対空ミサイルシステム8基、T-90戦車300輌などが供与されたのである。小規模な兵器も随時供与されているようである。