2024年4月20日(土)

解体 ロシア外交

2013年2月6日

 また、2010年には、ロシアの国営兵器輸出会社である「ロスオボロンエクスポルト」は3月、アルジェリアとの間でSu-30MKA戦闘機16機の供給契約を締結した。これは、2009年に完了した、前述の同型機28機の供給契約のオプションとして合意していたもので、総額は10億ドルに上る大型契約である。

 2012年12月には、プーチン大統領は、ロシアの2012年の武器輸出額は140億ドルに及んだとしているが、その最大の顧客がインド、アルジェリア、ベトナムであったことも明らかにしている。

 加えて、2002年には、アルジェリアは災害監視衛星コンステレーション(DMC)に参加するALSAT-1をSSTLから購入し、ロシアのコスモス3Mによって打ち上げた。それはアルジェリアのみならずアフリカで初の人工衛星の成功事業となり、アルジェリアの国際的ポジションの向上に貢献したと言える 。

アルジェリア人質事件で
欧米の対応を批判するロシア

 このように、早くからアルジェリアと密接な関係を築いてきたロシアにとって、欧米諸国のアルジェリアでの資源開発への参入は、決して愉快なことではなかったはずで、今回の人質事件はロシアにとって欧米諸国をけん制する好材料として映ったかも知れない。実際、事件に絡み、ロシア首脳陣は、アルジェリアのみならず、欧米諸国の中東・アフリカ政策を根底から批判している。

 たとえば、ラブロフ外相は、1月23日の記者会見で、リビアへの間違った欧米の介入が、中東/アフリカに武器・兵器を大量流出させ、マリ、アルジェリアを含む周辺地域のイスラーム過激派を伸張させたと指摘した。アルジェリアでの人質事件を誘因したとされるマリへの軍事介入で、フランス軍などが戦った相手に、2011年のリビア内戦の際カダフィ政権を打倒するために欧米が武器を与えた戦闘員が含まれているからだという。欧米が場当たり的に行った武器供与や干渉が、結果的に地域全体の不安定化を導いたとして、欧米を批判したのである。なおロシアがNATOによるリビアへの武力介入に反対をしていたのは、シリアに関する2つの拙稿(「ロシアがシリアを擁護する3つの理由」 「『ロシアはアサド政権と心中しない』 変化を見せる対シリア政策」)で述べた通りだ。


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