プーチンに不都合な二つのニュース
ロシア経済は西側の制裁でますます弱くなるだろう。国民生活は圧迫される。ロシア国民のウクライナ戦争への反対は経済困難、戦争の早期決着がないなか、今後徐々に高まると考えてよい。プーチンはそれがわかっているから、厳しい情報統制を行い、国民の目をふさごうとしているが、真実を正直に知らせずに嘘で国民の戦争支持を得ることはできないだろう。
注目に値するニュースが二つある。
一つは、「ウクライナに侵攻したロシア軍は職業軍人よりなっており、徴集兵はいない」とプーチンが言ったとのニュースである。徴兵された人は派遣されていないとの発言は、ウクライナ戦争への国民の支持が弱いとプーチンが認識していることを示している。アフガン戦争の時には、「兵士の母」という団体があり、徴兵兵士の母親が息子のことを心配し、戦争の是非を問題にしたことがあった。プーチンはそれを覚えているだろう。
今一つは、プーチンがシリアより市街戦に経験のある兵士を傭兵として雇うとのニュースである。これも兵士不足、その背後にはロシア国内での戦争反対があることを示す。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルク事務局長は、ウクライナ情勢は今のところ良くなるより悪くなる可能性が高いと言っており、その通りであると思われるが、プーチンがこのウクライナ戦争という賭けに勝つシナリオは見通せない。プーチン政権が終わる可能性は、時期や形は不明であるが、かなりある。