2023年12月5日(火)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年5月1日

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本間正義 (ほんま・まさよし)

アジア成長研究所特別教授・東京大学名誉教授

東京大学大学院農学系研究科博士課程単位修得退学、米アイオワ州立大学大学院経済学研究科博士課程修了。成蹊大学経済学部教授、東京大学大学院農学生命科学研究科教授、西南学院大学教授を経て、現職。著書に『現代日本農業の政策過程』(慶應義塾大学出版会)、『農業問題:TPP後、農政はこう変わる』(ちくま新書)など。

 「Wedge」2022年5月号に掲載され、好評を博している記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
「世界のパンかご」とも称されるウクライナ。ロシアによる軍事侵攻により世界の穀物価格上昇が見込まれる (ANATOLII STEPANOV/FAO/AFP/AFLO)

 ウクライナ危機で穀物価格が上昇している。ウクライナは世界の穀倉地帯の一つであり、小麦の生産量は近年で約2700万㌧、トウモロコシや大麦、粟、雑穀といった粗粒穀物は約4400万㌧、うちトウモロコシが3400万㌧である。

 小麦の輸出量は1800万㌧、粗粒穀物の輸出は3300万㌧に達する。そのウクライナが戦禍で、生産に支障をきたすとすれば、新型コロナウイルスからの回復で需要が増加している食料価格がさらに高騰する。

 ロシアもまた3700万㌧程度の小麦を輸出する小麦大国である。しかし、国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除されたロシアは、貿易の決済がしにくくなり、他の経済制裁と併せて小麦の輸出が困難になるとみられる。

 ロシアの主要な小麦輸出先は中東・北アフリカ地域(エジプト、トルコ、イランなど)であり、近年ではサブサハラ・アフリカ地域(ナイジェリアなど)への輸出も増えている。ロシアからの小麦供給が止まれば、これらの発展途上国での食料問題が深刻化し、社会不安が広がる恐れがある。


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