2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月22日

 7. 韓国と協力して放送やその他の情報活動を拡大し、より多くの北朝鮮の人々に自国や外部世界に関するより多くの情報を提供するようにする。

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 マッザの提案のうち、北朝鮮に金融サービスを提供する銀行を、「資金洗浄が懸念される対象」に指定する、北朝鮮をテロ支援国家として再指定する、北朝鮮のトンネル会社の営業を容認している国に容認を止めるよう求める、韓国と協力して北朝鮮国民に対する宣伝活動を拡大する、の4つはこれまでの政策の延長線上にあります。

 しかし、衛星もしくはステルス航空機を北朝鮮上空に飛ばし、金正恩の動静を追跡する、北朝鮮沿岸に空母を展開する、北朝鮮の主要港を封鎖するという3つの提案は、マッザ自身も認めているように、挑発的であり、北朝鮮が激しく反発することが予想されます。

 マッザの提案は、これまで北朝鮮に圧力を加えて政策を変えさせようとする試みは成果を上げていないので、これまでになく強い圧力をかけてみたらどうかということですが、北朝鮮が圧力に屈して核開発を止めるというシナリオは想定しがたいものです。

 もしマッザの提案の中で、より挑発的な3つの提案が実施されれば、北朝鮮が瀬戸際外交をぎりぎりまで推し進め、朝鮮半島に危機的状況が生じる危険性が高いでしょう。

 マッザがこのような提案をすること自体、米国や西側の北朝鮮政策が行き詰っていることを改めて浮き彫りにしています。今後、北朝鮮を核保有国として認め、その上で北朝鮮政策を立てるべきであるという、発想の転換への関心が高まることも予想されます。

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