越えるべき〝3つのハードル〟
ただ、佐々木投手は仮にこの「2024年」をキーワードとするならば、それまでに〝3つのハードル〟をクリアしなければならないことをおそらく肝に銘じているはずだ。まず絶対に成し遂げなければならない最大のテーマはチームのリーグ優勝および日本一達成である。ここまで自身は素晴らしい投球内容を残していても、今季のロッテは今のところ借金生活に甘んじて低空飛行を続けている。そんなチームを自らの力によって05年以来のリーグV、そして10年の下克上日本一以来となる日本シリーズ制覇へ導かなければならないことは自らも責務として強く感じ取っているに違いない。
加えて最多勝など自身初の個人タイトル受賞も佐々木投手は目標として当然描いているはずだ。そして3つ目、NPBの投手として最高の栄誉「沢村賞」も佐々木投手の持つポテンシャルならば、今季を含め3年以内に手にする可能性が十二分にあることは同賞選考委員も異論はないだろう。
これら〝3つのハードル〟を乗り越え、勲章を手中に収めることができれば文句なし。その上で佐々木投手と球団側の話し合いが円満にMLB挑戦の方向性で合致するのであれば多くのロッテファンも納得して万雷の拍手を向け、送り出してくれるように思う。
24年、あるいはそのもっと先になるかもしれないが、いずれにせよ佐々木投手のMLB移籍が日米球界全体の焦点となる日は必ずやって来る。そのXデーに向けて、佐々木投手は黙々とマウンド上で腕を振り続けていく構えだ。
補足だが、完全試合を含め今季登板全試合でバッテリーを組んでいる18歳ルーキー・松川虎生捕手とのコンビも今後の楽しみの1つだ。ここまで1歳年上の佐々木投手が松川捕手の配球に首を振るシーンが実はほとんどないことも好投の要因となっている。
年下である松川捕手が先輩投手を立てるリードを常に心がけており、こうした繊細な気配りがマウンドの佐々木投手とも大きくフィットしていると聞く。佐々木投手曰く、松川捕手とのバッテリーを「毎試合楽しみにしている」とのことで、この2人には将来的に日本球界を背負って立つ黄金バッテリーとなる予感も漂う。重ね重ね期待値大だ。
世のビジネスパーソンもぜひ、佐々木投手がマウンドで計り知れないプレッシャーにもめげず〝奮投〟する姿から日々を生き抜く活力を得て欲しい。