2022年7月6日(水)

勝負の分かれ目

2022年5月10日

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飛び交う「ラブコール」も渡米はまだ先な理由

 MLBの複数球団が獲得しようと本格調査に乗り出している千賀投手にも内容では事実上〝投げ勝った〟ことで、海の向こう側からも日本の若きモンスターに対するラブコールは急速に高まりつつある。完全試合を成し遂げて以降も確かなインパクトを残す投球を見せつけている佐々木投手には米国内で「一体いつ、MLBにやって来るのか」という話題で持ち切りとなっている。

 実際にMLBの公式サイトも「すでにササキは複数のMLB球団からターゲットにとらえられている」とトップ記事で紹介し「日本球界史上最高のパフォーマンスで、さらに間違いのない存在となった」と断じ、確証を持つ形で伝えている。

 しかしながら現実的な観点から見るとするならば、佐々木投手の早期MLB移籍は考えにくい。順調に行けば、海外FA権を取得する30年シーズン終了後のオフということになる。それよりも早くMLBへの移籍を実現させるためには所属するロッテからの了承を得て、ポスティングシステムを利用するしかない。

 しかもMLBで定められている現行制度には25歳未満、およびMLBが認定する日本プロ野球(NPB)を含めた外国のプロ野球リーグに在籍して6年未満の選手は「国際FA」の対象とならないというルールもある。このルールに沿えば、対象外となった場合にはマイナー契約となってしまうのだ。しかも、アマチュア選手扱いとなるためポスティングシステムを利用しても所属先の球団側に支払われる譲渡金は従来よりも4分の1程度にまで減額されてしまう可能性が高い。

 26年シーズンでプロ7年目となり、同年11月3日に25歳の誕生日を迎える佐々木投手のMLB移籍について米紙「ニューヨーク・タイムズ」など多くの米主要メディアが「早くても27年シーズン終了後だろう」と予想しているのは、そのような背景が絡んでいる。

 だが、その一方でMLBの複数球団が佐々木投手に関し、24年シーズン終了後のMLB移籍を水面下でシミュレーションする動きもある。23年3月に開催予定の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表・侍ジャパンのメンバーとして佐々木投手が選出され、各国代表に散りばめられた現役メジャーリーガーの強打者たちと対戦し、驚異的な投球を見せつければ、MLBからの評価は再急騰するのは必至。そうなればメジャー移籍の機運が高まり、二刀流・大谷翔平選手が北海道日本ハムファイターズからロサンゼルス・エンゼルスへ移籍したタイミングと同様に在籍5年目のシーズンとなる24年のオフに海を渡ることになるのではないだろうか。

 また、これまで所属選手のポスティングシステムによるMLB移籍に比較的寛容な姿勢を見せてきたロッテならば、たとえ「国際FA」の対象とならなくても佐々木投手の抱く夢の実現を後押しするのではないだろうか――。そのように予想するMLBの関係者は確かに少なくない。

 あまり知られていないが、事実として佐々木選手が将来的なMLB移籍について問われた際に「タイミングが合えば年齢問わず行きたい」と公言していることも、どうやらこうした見方を助長させているようである。

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