2024年12月23日(月)

勝負の分かれ目

2022年4月5日

 ビッグボスが苦戦を強いられている。北海道日本ハムファイターズはビッグボスこと新庄剛志監督の新体制で華々しくスタートを切ったが、開幕から10日が経過した4日現在まで1勝8敗とパ・リーグ最下位に沈んで低迷中。首位の福岡ソフトバンクホークスと7ゲーム差、5位の埼玉西武ライオンズにも3ゲーム差をつけられ、他の5球団に早々と大きく引き離されている。

就任当時から注目が集まり、期待されていたビックボス新庄だったが、開幕からつまずいている(つのだよしお/アフロ)

 開幕から3カード連続の負け越し、そのうち2つが同一カード3連敗となったことから、借金はもう7にまで膨れ上がってしまった。開幕前からビッグボス人気が爆発して日本ハムはひと際注目を浴びていたが、ここまで負けてしまうとポジティブな要素を見つけることは残念ながら極めて難しい。

主砲とあえて勝負するも……

 3日に敵地の京セラドーム大阪で行われたオリックスバファローズとの試合も2―4で逆転負けを喫した。この試合で新庄監督らベンチは2―2の8回裏一死三塁から打席に立った紅林弘太郎内野手を申告敬遠し、次打者の4番・吉田正尚外野手と勝負するように自軍バッテリーへ指示。しかし、これが完全に裏目に出てしまった。紅林内野手に盗塁を決められて一死二、三塁とされ、吉田外野手にはセンターへ勝ち越しの2点適時打を浴びた。

 打率1割台の紅林を敬遠し、侍ジャパンでも主砲を務める相手の4番とあえて勝負するという〝危険な選択肢〟に首をかしげる声は多く、何よりベンチから敬遠を指示されたマウンド上の3番手・宮西尚生投手がやるせなさそうに顔をしかめていた姿も印象的だった。

 打線もつながりを欠き、終わってみれば8残塁。しかも2度にわたって挟殺されるお粗末なプレーも目立った。これでは勝てるわけがない。

ベンチの采配云々ではなく状況判断ができていない個々の走者のミスとして新庄監督をかばう指摘もあるが、それを言うならばチームは長い時間を費やしてきたはずの名護春季キャンプで一体何を練習してきたのかと問いただしたくなる。走者が塁間に挟まれるランダムプレーの練習は基本中の基本だ。

 やはり奇抜な采配と言動で世間をアッと言わせ続けてきた新庄流サプライズ路線は岐路に立たされていると言えるかもしれない。その証拠にこの日の試合後、新庄監督は報道陣の取材には対応せず球団を通じて務めて前向きな内容のコメントを出した。試合後のメディア非対応は早くも今季2度目。明らかに苦悩している様子がうかがい知れる。


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