2024年7月16日(火)

勝負の分かれ目

2022年4月5日

 今までは物珍しさや面白さで多くの人たちから興味を引き、共感も呼んできたが、そのパフォーマンスもさすがに食傷気味になってきた感が否めない。しかも、これだけ本業の野球の試合で結果が伴わなければ「何をやっているんだ」と叩かれるのもプロの世界なのだから当然の話である。

期待が残っている理由

 それでも――。まだ新庄監督には「何か」をやってくれる期待を残す人も多い。段々と厳しい目も向けざるを得なくなっているとはいえ、筆者もその1人だ。

 もともと開幕前から日本ハムの戦力不足は明白で、評論家や有識者の今季順位予想も「最下位」とする声が大勢を占めていた。昨季まで3年連続のリーグ5位に沈みながらも助っ人以外、オフに目立つような大物の補強も行わなかった。

 その点を踏まえれば新庄監督も、そして日本ハムの球団側もある程度は覚悟の上であったことだろう。つまり、ここまでの黒星地獄も「想定内」。そもそも日本ハム側は昨オフ、親会社からの強いプッシュで球団OBの新庄氏に次期監督就任のオファーをかけるにあたり「人気回復と若手育成、戦力の見極め」にまず重点を置き、長期的ビジョンでのチーム再建像を描いたともささやかれている。

 そのオファーを快諾した新庄監督が今季は球団の方針通りに「人気回復と若手育成、戦力の見極め」の〝下準備〟に集中し、来季以降が真の勝負ととらえて就任1年目のシーズンをまい進しているとすれば合点もいく。

 自ら就任会見で「優勝なんか目指しません」とぶち上げて波紋を呼び起こしたことも実は冗談でも何でもなく、本音だったかもしれないからだ。しかも日本ハムにとって2023年シーズンは現在の札幌ドームに代わって新たな本拠地となる「エスコンフィールド北海道」に戦いの場を移すリスタートの大事な年。今季の〝下準備〟を経て新庄ビッグボス率いるファイターズは新球場元年の来季から躍進していく――。そういうビジョンをウワサ通りに球団、現場ともに描いているとするならば、もう少し長い目でわれわれも新庄流の戦い方を見ていく必要があるかもしれない。

苦しい時こそ見える手腕

 ただ、新庄監督にとってはここからが本当の勝負になるだろう。シーズンは始まったばかりとはいえ、これだけ負けが込んでしまえば批判も向けられる。

 どうしてもプロの世界は勝負の結果が大きくモノを言う。今までならば何をやっても許されていた感の強かった新庄監督にはネット上でもすでにバッシングが向けられ始めており、手のひら返しが始まっている。この世間からの逆風を新庄監督、そして日本ハムがどのように乗り切るかも興味深い。

 また、ファンも現状のように最下位に沈む状況が続けば看過できなくなくなるのは必至だ。仮に今季に関しては「人気回復と若手育成、戦力の見極め」というスタンスを新庄監督と球団側が描いていたとしても、黒星ばかりでは我慢も限界に達するはず。そのバランスを考えると、新庄監督としてはかじ取りが非常に難しくなってきそうな予感は漂う。


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