2024年12月23日(月)

勝負の分かれ目

2022年5月10日

 日本の至宝は着実に進化を遂げている。千葉ロッテマーリンズ・佐々木朗希投手のことだ。6日にZOZOマリンスタジアムで行われた福岡ソフトバンクホークスとの一戦で先発マウンドに立ち、相手エースの千賀滉大投手と投げ合った。

U-18日本代表にも選ばれていた佐々木朗希投手は、国内だけでなく、世界からも注目されている(YONHAP NEWS/アフロ)

 12日ぶりのマウンドでの結果は6回91球、6安打1失点、11奪三振。間違いなく「好投」と言える内容だった。

開幕から打ち立てられた記録の数々

 4月10日の本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われたオリックス・バファローズ戦で日本新記録となる13者連続三振と日本タイ記録となる19奪三振、そして極めつけは史上16人目となる完全試合を史上最年少の20歳5か月で達成。次の登板となった同月17日、本拠地での北海道日本ハムファイターズ戦では、球数102球に達して降板となり2試合連続の完全試合こそ逃したものの、8回をパーフェクトに抑え、14奪三振の快投を見せた。

 この試合で、今季開幕から続けてきた連続イニング奪三振も「25」で止まったとはいえ、これは2020年の山本由伸投手(オリックス)に並ぶ日本人最長タイ記録である。その次の同月24日の敵地でのオリックス・バファローズ戦登板では、初回の先頭打者に対してついに安打を許し、連続イニング無安打無失点のパーフェクト記録は「17」でストップ。同月3日の埼玉西武ライオンズ戦の8回二死から継続し、米メジャーリーグ(MLB)記録の「46」を大きく上回っていた連続アウト数も「52」で止まった。そして、続いていた日本新の連続イニング無失点記録も5回に失点し「22」でカウント終了となった。

 こうしてあらためて振り返るだけでも、まだ20歳の佐々木投手が凄まじい功績を残したことを把握できる。ただ、完全試合を筆頭にとんでもない記録を作り上げたことで佐々木投手に求められる「スタンダード」が余りにも大きくなり過ぎているところはやや気がかりだ。先月24日のオリックス戦や今月6日のソフトバンク戦で単に被安打されただけで「あの佐々木がヒットを打たれた」と騒ぎ立てる声が出ていたのは仕方がない側面もあるとはいえ、さすがにもう少し冷静になる必要はあるだろう。

 そういう観点から考えて話を戻すと、同日のソフトバンク戦の登板内容は十分に「好投」だった。本人曰く決して調子がいいわけではなかったようだが、それでもアクシデントもあって5回3失点で降板した千賀投手相手に先発として試合をつくり上げたのだから大いに評価されるべきである。

 言うまでもなく相手の千賀投手は日本を代表する投手であり、今季中に取得見込みの海外フリーエージェント(FA)権を行使し今オフのMLB移籍も確実視されている注目のプレーヤーだ。そんな好投手と対峙し、一歩も引かず好内容を残したことは佐々木投手の今後を考える上でも大きな収穫となった。


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