2022年8月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月24日

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 ウクライナ・ロシア間で停戦が早期に成立することが望ましいが、「交渉」対象にはそもそも停戦が実現してから交渉すべき政治的要求が含まれており、戦況の変化により交渉ポジションも変るので、そのような交渉がまとまることは難しい。

プーチンの野心はどこまであるのか

 プーチンとしては、交渉で時間を稼ぐ間にウクライナ制圧を実現するつもりであったであろうが、ロシア軍の苦戦は想定外であっただろう。5月9日の対ナチ戦勝記念日のプーチンの演説には、勝利宣言も戦争宣言も含まれず、また強気の象徴である核使用の威嚇についての言及もなく、ドンバス地域への執着と紛争の責任をNATO側に押し付けウクライナ侵攻の正当化に終始したとの印象を受けた。これは、今後の経済制裁の影響を念頭に、国内での批判や厭戦気分の高まりを意識せざるを得ない状況であることを示すものかもしれない。

 ウクライナ戦争がプーチンの戦争であり、その結果としての新冷戦もロシア国民にとって全く望まない結果であるので、プーチンの立場は盤石とは言えない。逆に言えば、プーチン次第で、事態の沈静化はある程度可能である。

 プーチンがウクライナ東部における勝利宣言を行って、今後の多国間の政治的な解決の枠組みに関し交渉する用意があることを宣言すれば、多少の緊張緩和が望めるであろう。プーチンの野心がドンバス地域に限られず、オデーサ地域等の掌握を諦めていないのであれば、紛争拡大のリスクはさらに大きくなるので、その点の見極めが重要であろう。

  
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