米バイデン大統領の初来日が正式発表された。今月23日に岸田文雄首相との首脳会談が行われる。世界的大問題となったウクライナ戦争が長期化する中、わが国はこの機会に、改めて「日米同盟」の価値と意義を再認識、再確認する必要がある。
現実離れしたあるメディアの主張
「日米安保体制の解消と非武装中立を」――。1972年元旦、わが国の某全国紙は、こんな主張の「日本の平和を考える」と題する見開き2ページ全面の大特集記事を掲載、日本の安保政策の抜本的見直し論を展開した。当時は、ベトナム戦争末期で厭戦ムードも盛り上がりつつあったとはいえ、その大胆な提言は国内外で大論議の的となった。
さらに、湾岸危機後の95年5月にも、「提言・国際協力と憲法」と題する特別紙面を組み、①「非軍事・良心的兵役拒否国家」を目指す、②自衛隊の改造・削減、③「冷戦型の日米安保からの脱却」と多国間対話・協議の枠組み追求――などの独自の平和構想を詳細にわたり論じている。
その後、同紙は今日にいたるまで、こうした現実離れした瞠目すべき主張を、紙面上できちんとした形で訂正、または撤回した形跡は見受けられない。
ウクライナが〝孤軍奮闘〟せざるを得ない理由
去る2月24日、ロシア軍の大規模軍事侵攻を受けて以来、ウクライナは米欧諸国からの軍事・経済援助を受け、懸命の防戦に努めている。だが、早期停戦のめどは立たず、出口の見えない苦しい長期戦を強いられている。
その最大の理由を挙げるならば、ウクライナが米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)諸国との同盟関係にないため、大規模な兵力面での援軍を期待できず、軍事大国ロシア相手に〝孤軍奮闘〟の選択肢しかないという点に尽きる。
逆にもし、ウクライナが以前からNATO加盟国になっていたとしたら、そもそもロシアの軍事侵攻はあり得なかっただろうし、仮にプーチン大統領が一時的に限定的侵攻に踏み切ったとしても、NATO軍の速やかな共同作戦により、早期撤退を余儀なくされたであろうことは想像に難くない。
「同盟」には、それほど重要な意味が込められているのだ。