バイデンのアメリカ

2022年5月9日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 米バイデン大統領の初来日が正式発表された。今月23日に岸田文雄首相との首脳会談が行われる。世界的大問題となったウクライナ戦争が長期化する中、わが国はこの機会に、改めて「日米同盟」の価値と意義を再認識、再確認する必要がある。

バイデン大統領と岸田首相の初の対面での首脳会談が今月に行われる(Adam Schultz/The White House/AP/アフロ)

現実離れしたあるメディアの主張

 「日米安保体制の解消と非武装中立を」――。1972年元旦、わが国の某全国紙は、こんな主張の「日本の平和を考える」と題する見開き2ページ全面の大特集記事を掲載、日本の安保政策の抜本的見直し論を展開した。当時は、ベトナム戦争末期で厭戦ムードも盛り上がりつつあったとはいえ、その大胆な提言は国内外で大論議の的となった。

 さらに、湾岸危機後の95年5月にも、「提言・国際協力と憲法」と題する特別紙面を組み、①「非軍事・良心的兵役拒否国家」を目指す、②自衛隊の改造・削減、③「冷戦型の日米安保からの脱却」と多国間対話・協議の枠組み追求――などの独自の平和構想を詳細にわたり論じている。

 その後、同紙は今日にいたるまで、こうした現実離れした瞠目すべき主張を、紙面上できちんとした形で訂正、または撤回した形跡は見受けられない。

ウクライナが〝孤軍奮闘〟せざるを得ない理由

 去る2月24日、ロシア軍の大規模軍事侵攻を受けて以来、ウクライナは米欧諸国からの軍事・経済援助を受け、懸命の防戦に努めている。だが、早期停戦のめどは立たず、出口の見えない苦しい長期戦を強いられている。

 その最大の理由を挙げるならば、ウクライナが米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)諸国との同盟関係にないため、大規模な兵力面での援軍を期待できず、軍事大国ロシア相手に〝孤軍奮闘〟の選択肢しかないという点に尽きる。

 逆にもし、ウクライナが以前からNATO加盟国になっていたとしたら、そもそもロシアの軍事侵攻はあり得なかっただろうし、仮にプーチン大統領が一時的に限定的侵攻に踏み切ったとしても、NATO軍の速やかな共同作戦により、早期撤退を余儀なくされたであろうことは想像に難くない。

 「同盟」には、それほど重要な意味が込められているのだ。

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