2022年8月10日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年6月8日

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七海レイ (ななみ・れい)

ジャーナリスト

中国国内事情にも通じるジャーナリスト

 こうして60日以上続いた事実上のロックダウンにより日系企業も多大な影響を受けている。上海日本商工クラブが5月27日から31日にかけて、加盟社129社から回答を得たアンケート調査(6月2日公表)によると、2022年の収益について、88%の企業が減収を見込んでいて、およそ30%の企業が減収幅の見通しを2割以上と回答した。

 調査が行われた期間が解除の直前だということをふまえると、ロックダウン期間トータルの影響を如実に表した数字と言えよう。経済不安が一層広がる中、上海市政府は5月29日の記者会見で企業向けの減税や家賃の減免など、3000億人民元・日本円にしておよそ5兆7000億円に上る支援を行っていくと表明している。

おそるおそるの再開の中で人波が絶えない場所は

 また、上海市が「生産活動」と共に早期の正常化を目指すとした「市民生活」も心許ない状況が続いている。

 6月1日の解除当日の朝は、待ちゆく人もかなり少なかったが、午後、夕方にかけては徐々に人の数も増えていた。市民生活がおそるおそる動き出した中で、今、人波がほぼ絶えることの無い場所がどこかと聞かれれば、その最たる場所は街のPCR検査スポットだ。

 上海市政府は徒歩15分圏内に1つ検査スポットを設けているとしていて、その数は、市内で9000カ所ほどあるそうだ。このスポットの多くは箱型の検査場で、中には、複数の係員が同時に検査希望者の検体を採取できるところ、場所によっては土日や祝日も平日と変わらず検査が受けられるようになっている施設もある。

 ロックダウンがほぼ解除されたのになぜここまでの検査施設が必要なのか? 現在、上海では公共の交通機関を利用する際や職場などのある建物・店内営業をしている店に入るためには基本的に「72時間以内の陰性証明」が必要なのだ。有効期限内の陰性証明が通行手形になっているわけで、今の上海で検体採取から72時間が経過してしまうことは市民にとって死活問題となる。検査スポットの中には数時間待ちのところもあるという。

 そして「気苦労」は他にも。検査サンプルの収集方法として、被験者1人分を1つの試験管に入れる「1人1管」方式の他、複数人のサンプルを1つの試験管に入れる「〇人1管」方式がある。中には「10人1管」方式というのもあり、同じ試験管に入れられるサンプルの数が多いほど、自分が陰性でも見ず知らずの「陽性者」の巻き添えをくい、再検査を受けさせられる恐れも高くなるわけだ。どの方式かは検査会場によって異なるが、「1人1管」方式の場所に人波が寄ることは想像に難くないだろう。

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