1人当たりの購買力平価GDPを見ると、中国が1980年にわずか674ドルだったのだが2000年には3431ドル、22年には1万8299ドルとなった。一方、インドは1980年には1210ドルあったのに、2000年には2361ドルと追い抜かされ、22年には7159ドルになってしまった。インドの1人当たりGDPは中国の2.5分の1以下となってしまった。
インドが、少しでも成長率を高める方法がないだろうか。これが絶対に正しいというほど自信を持っている訳ではないのだが、人口増加率を下げること、投資率を高めること、製造業のサプライチェーンを強化することで何とかできる可能性がある。
人口が成長率を下げるという側面も
図2は、人口の成長率を比べたものである。日本では、人口が増加しないから成長できないという議論が盛んだが、そもそも戦前は人口が過剰だから豊かになれないという議論が盛んだった。戦前、北一輝『日本改造法案大綱』(1923年)には、「わが日本また50年間に2倍せし人口増加率によりて100年後少なくとも2億5千万人を養うべき大領土を余儀なくせらる」と書いてある。人口増加率が低ければ、1人当たりの実物投資も教育投資も農地への投資も少なくてすむ。
図を見ると、中国とスリランカ、インドネシアとインドとバングラデシュ、パキスタンは3つのグループに分かれている。1980年から2022年までの中国の人口増加率は0.9%であるのに対して、インドの人口増加率は1.7%である。人口増加率が低ければ、より低い経済成長率でもより豊かになれる。
投資率が高ければ高い成長率はできないだろうか
第2は、中国の投資率(総固定資本形成÷GDP)の高さである。普通に考えると、より多くの投資をした方が成長率が高くなる気がする。図3は、インドや中国などの投資率を示したものである。中国の投資率が40%以上あるのに対して、インドネシアは1990年以降低下し、インド、スリランカは25~30%ぐらいとなっている。
ここでバングラデシュの投資率が安定的に伸びていることは望ましい。安定的に投資率が伸びているのだから、成長率が高まっている訳だ。パキスタンは15%程度でしかない。