公的には、アウンサンスーチーは、かなり楽天的である。しかし、個人的には、政治的進歩にもかかわらず一般の人々の生活を向上させていない政府に対して、もっと批判的である。貧しい人々は、インフレのために、暮らしが一層苦しくなっているかもしれない。地方では、違法な土地収用が強化されている。
これらが、アウンサンスーチーが率いると想定される政府を待ち受ける問題である。NLDは、政策立案の深さに欠け、リーダーがイエスマンのグループによって取り囲まれていると懸念する者もいる。それは、巨大な社会的問題と地政学的・戦略的利害関係を抱えた、脆弱な民主国家を運営していくためは、全く理想的ではない、と論じています。
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NLDが直面するすべての問題を解説した、常識的でバランスのとれた分析です。
アウンサンスーチーは、当初は、軍事政権の改革は不完全であり、信用できないことを強調して、ミャンマーの新しい風に期待した人々を失望させました。その後は路線を徐々に変えて、軍事政権の新路線にも理解を示し、協力する柔軟な姿勢を示しました。それは、日本を含む外部世界としても歓迎すべきことでした。
しかし、軍による苛酷な弾圧を潜って来た従来のNLD党員や、地方の少数民族にとっては、軍事政権に対するNLDの穏健な姿勢には不満が残ることになります。
この問題、特に少数民族問題の解決は、ミャンマーの宿痾であり、容易に解決する処方など見つかるはずもありません。
軍は、NLDに対する弾圧は止めることは出来ます。しかし、少数民族に対しては、武力行使の選択を放棄するわけにはいかないのです。とすると、政治における軍の専権体制を崩すことには困難が伴うことになり、それが政治体制の民主化へのブレーキとなる、という構造なのでしょう。そして、それをアウンサンスーチーが理解すれば、当然に党内の反発を招くということになります。
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