2023年2月7日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月18日

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 愚かな挑発の戒めに関連して、イグネイシャスは「(そのことは)ウクライナがロシア領内から発射したミサイルに反撃してはならないと言うことを意味しない」と言い、もしプーチンが自国領土をロケット発射の聖域として使うのであれば、ロシア国境尊重の根拠は無くなる旨述べる。そうだと思う。

ウクライナとの連帯を続けることはできるのか

 ウクライナの戦争の非対称性は常に気になってきた。なお6月1日バイデンがHIMARSのウクライナ供与を発表した際、米高官は「ウクライナが自国防衛のみに使うと確約した」と説明した。そこまで明らかにする必要があったのだろうか。必要があればロシアとのコミュニケーションの中で伝えれば良いことではなかったか。曖昧さの放棄は、抑止力を損なうことにもなる。

 「これはウクライナが戦う戦争だ」とイグネイシャスも言う。「しかしNATOは、あたかも自らの信頼性と生存が掛かっているように、戦略を計画していくことが必要だ」と続ける。

 重大な国際規範違反であり、ウクライナが挑発したものでもないのに、侵略者との闘いは自分でやらねばならない。ウクライナに連帯を禁じ得ない。何れの国も周辺情勢を的確に判断し、平素から強い防衛力、経済力、同盟関係のために最大限の努力をしておくことの必要性を改めて感じない訳にはいかない。しかしロシアが今回失った世界の信頼と侵略への責任は、恐らく数十年は消えないだろう。

  
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