6月29日付のワシントン・ポスト紙(WP)で、同紙コラムニストのイグネイシャスが、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でウクライナについてNATOが結束したことは良いが、武器供与の遅れ、西側の疲労感、西側による愚かな挑発など多くのことで今後旨く行かなくなる可能性があると警告している。
イグネイシャスは、(1)NATOのウクライナ戦略が如何に失敗することがあり得るかを考えて置く必要がある、(2)具体的には武器供与の停滞や不足、西側の政治的疲労、西側の愚かな挑発があると指摘する。何れも重要なポイントだ。
戦場の形勢は、ウクライナへの武器供与が計画通り進むかどうかに掛かっている。ゼレンスキーは以前、6月後半から攻勢に転じると述べていたが、イグネイシャスによるとドローンの供与に問題が起きているようだ。
6月1日にバイデンが発表したHIMARS(多連装ロケット発射システム)の供与については、6月24日に第一弾4基がウクライナに到着し、今戦場で威力を発揮し始めている。追加が7月中旬に到着の予定という。しかしウクライナは300基が必要としている。
第二の政治疲労については既に広く議論されている。2月24日のロシアのウクライナ侵攻からは早4カ月が過ぎたが、双方とも今の戦争をそう長く続けることは出来ないと思われる。ロシアにとっては制裁も効いてくるだろう。
第三の西側の愚かな挑発の可能性として、イグネイシャスは、リトアニアによるカリーニングラード向け物資の通過禁止の決定に言及し、「しかしそれは賢明だっただろうか」と大きな疑問を投げかける。そのような動きはロシアの報復を引き起こし、リトアニアによるNATO第5条の相互防衛の発動を引き起こす。小さな動きが大戦に発展し得ることは歴史が示す通りだ。