忘れてはいけない東日本震災慰追悼式での非礼
それにつけても思い出すのは、2012年に行われた東日本大震災1周年追悼式での台湾代表への極めて非礼な接遇だ。
参列してくれた台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表(公使に相当)に対して、日本政府は外交団席、貴賓席でもなく一般席に案内。指名献花からもはずし、羅氏は一般参加者に交じって献花した。
250億円にのぼる海外から最も多額の義援金を送ってくれた台湾へのあまり非礼な対応に批判が噴出。当時の野田佳彦首相も国会で「適切さを欠いた」と陳謝を余儀なくされた。
日本はこの時から何の〝学習〟もしていないのか。中国に対する弱腰にも何ら変化がないようだ。
盛り上がり欠く「日中国交正常化50年」
岸田首相は21年秋の自民党総裁選に出馬する際の外交公約のなかで、中国に対しては「毅然(きぜん)と対応、民主主義、法の支配、人権等の普遍的価値を守り抜く」と主張した。首相就任、22年1月の通常国会の施政方針演説では、「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていく」と述べている。
「毅然と対応」「主張すべきは主張」という威勢のいい発言と、「ご指摘の人物云々」の落差はどうだろう。
ことしは日中国交正常化50周年だ。
半世紀の大きな節目を祝おうという盛り上がりは一向に見えてこない。双方のしこりが取れて率直、盛大に寿ぐには、次の半世紀を待たまければならないのか。
「日中国交正常化50年」より「日台国交断絶50年」を惜しむ声が聞こえてくる。