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2022年7月10日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 安倍晋三氏に対して、「生前の……」「故人」などという言葉をこんなに早く使うことになろうとは、だれが想像しだろう。

安倍元首相が銃撃受けた現場近くには、多くの献花がされている(ZUMA Press/アフロ)

 参院選わずか2日前に起きた安倍元首相殺害事件は国内外に異常な衝撃を与えた。選挙中に候補者を含む政治家が殺害されたケースは過去に絶無ではないが、21世紀、令和の今日に起きた狂暴事件には驚愕、戦慄するほかはない。

 動機を含む真相の解明は今後の捜査に待つべきだろうが、首相退陣後も影響力を維持する安倍氏に対しては、誹謗、中傷が絶えなかった。反対意見を暴力で封じ込める――。日本での民主主義の未成熟さとともに、暗い「分断社会」の到来を予感させる。

安保法制、吉田茂、佐藤栄作の業績に比肩

 安倍氏の業績については、すでに各メディアで論じられているので、多くを語る必要はあるまい。

 「功」は、何といっても「戦後レジームからの脱却」という大きな視点、目標をもって過去の呪縛を解き放ち、ひたすら日本を「普通の国」、さらには「強い国」に成長させようとしたことだろう。 憲政史上最長という記録を持ちながら、戦後復興を果たした吉田茂、沖縄返還を実現した佐藤栄作両元首相らと比較すれば、特筆すべき実績に欠けるという辛口の評価があるが、与すべき議論とは思えない。

 地味ではあるが、集団的自衛権の行使容認など一連の安保法制、特定秘密保護法の制定は、日米同盟の強化、国際社会での存在感の向上という効果では、吉田、佐藤両氏と比肩すべき功績だろう。アベノミクスによる景気刺激策も議論はあるものの株高、円高解消に対する評価は少なくない。 

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