2024年3月4日(月)

プーチンのロシア

2022年7月19日

 サハリンプロジェクトを通じてロシアからの原油、天然ガス輸入を進める日本もまた、ロシア政府が事業を接収する動きを見せているにもかかわらず、権益を維持する姿勢を堅持している。インド側はまた、「われわれがロシア産原油を購入せずに、他国と同じ原産地の原油を購入しようとすれば、価格はさらに高騰することになる」と指摘しているが、これも否定できない事実だ。

それでも、ロシア経済は悪化

 ロシア産原油の輸出が依然として続いていても、広範囲な制裁によってロシア経済は着実に縮小する方向にある。例えばロシアの石油産業に対しては、欧米や日本は先進的な掘削技術などの輸出を禁じ、英シェルや米エクソンモービルといった主要な国際エネルギー企業が一斉にロシアの石油産業からの撤退を決めたが、これらはロシアの石油産業の〝アキレス腱〟とも言える弱点を突いている。

 ロシアはソ連時代から、シベリア西部の油田が主な原油の生産地だったが、長年の掘削で産油量の減少が続き、今後はサハリンや北極圏など、高度な掘削技術が求められるエリアでの原油生産に注力せざるを得ない。しかし、それらの地域ではシェルやエクソンなど「メジャー」と呼ばれる国際エネルギー大手が保有する技術や設備が必須で、彼らの撤退はロシアの産油量の中長期的な減少につながる。

 欧米や日本の対ロシア制裁はほかにも、航空や流通、製造業など多岐に及び、外資系企業の相次ぐ撤退や人材の流出、インフレなどの進展の結果、ロシア経済は今年、プーチン政権発足後で最悪のマイナス成長が見込まれている。さらに戦争の長期化で、ロシア軍はすでに約10年続いたアフガニスタン侵攻を超える兵士が死亡したうえ、ロシア軍の最低限の目標と目されるウクライナ東部ドンバス地域の制圧も、侵略開始から4カ月たった今でも達成していない。

 それでも、ロシア最大の輸出産業である石油産業の封じ込めが進捗していない状況は、ロシアと対立する欧米や日本などに、戦争のさらなる長期化という厳しい現実を突きつけている。インドや中国、中東各国がロシア側にさらなる手を差し伸べる可能性は依然否定できないなか、それらの国々を引き込み制裁の効果をさらに高める取り組みが、欧米や日本には求められている。

   
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