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世界の記述

2022年7月17日

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宮下洋一 (みやした・よういち)

ジャーナリスト

在欧ジャーナリスト。1976年生まれ。スペイン・バルセロナ大学大学院でジャーナリズム修士。『卵子探しています』(小学館)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞。『安楽死を遂げるまで』(同)で講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『ルポ・外国人ぎらい』(PHP新書)がある。
 

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、6月3日で100日目を迎えた。欧州連合(EU)は5月、ウクライナに対し、年内に90億ユーロ(約1兆2000億円)の追加融資を行うと発表した。天然ガス以外にも、食料品などの価格高騰が進むEUは、この苦境をどう切り抜けていくのか。 

ロシア軍に破壊されたウクライナ東部の穀物倉庫 (REUTERS/AFLO)

 EUは2014年以降、ロシアの軍事侵攻開始までの約8年間、ウクライナにEU近隣政策として17億ユーロの助成金、56億ユーロの融資、2億ユーロの人道支援などを提供してきた。

 欧州投資銀行(EIB)のベルナー・ホイヤー総裁は5月、ロイター通信に対し、「欧州だけに負担させてはならない。ウクライナ復興は、数億どころか数兆ドル規模の話になる」と警戒した。新型コロナウイルスによる経済不況から回復していないEUにとって、本来は耳が痛い話だ。

 ユーロ圏内の消費者物価指数(IPC)は、5月に前年比8.1%上昇。エネルギーは39.2%、食料は7.5%と日ごとに増している。それらの主な原因は、天然ガスと穀物の不足だ。

 想定外のロシア産天然ガスのカットで、欧州各国は、クリーンエネルギー政策への転換を一旦、中止せざるを得ない局面に立たされている。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長は、産業活動継続のためにも、ロシア産の天然ガス依存から逃れ、「原子力と石炭が必要になってくるだろう」と言及。苦肉の策を選ばざるを得ない状況だ。

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