2023年12月6日(水)

WEDGE REPORT

2022年7月13日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

ジャーナリスト、元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 ロシアに安全保障理事会常任理事国だけでなく、国連の正統な代表権がそもそもあるのか――という疑念が指摘されている。ウクライナ侵略を機に高まった国連改革論議の過程で、以前からくすぶっていた疑義が再燃した。

(mizoula/gettyimages)

 ソ連が崩壊、ロシアに権限が移行した際、国連の手続きがあいまいだったことが遠因で、ロシアの野蛮な行動への反発もあって、国連からの追放要求、さらにはロシア、中国抜きの〝第2国連〟創設論も台頭している。

「ウクライナをロシア後継に」

 4月7日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)のオピニオン面にこんな記事が掲載された。

 国連総会が3月に、圧倒的多数で採択したウクライナ撤退要求、人道危機改善の決議にロシアが反対したことに言及、「こうした行動は国連憲章に違反した国を追放する規定にあてはまる」と指摘する。ロシア除名後は、「ウクライナに常任理事国の地位を与えよ」と主張。その根拠として、プーチン大統領が2021年7月に行った市民とのテレビ対話、同時期に発表した論文をあげる。

 大統領はこのなかで、両国の1000年にわたる歴史をさかのぼり、「双方は同じ民族だった」「ウクライナが非友好的とは思わない」「ウクライナの主権はロシアとのパートナーシップによって実現可能だ」となど述べている。

 同紙は、これを逆手にとって、同じ民族というなら、ウクライナがロシア後継になるべきだ――と論じる。いささか〝牽強付会〟に響くが、ロシアが当然のようにソ連の後釜にすわったのを、筋違い、不当だと逆説的に論難するのが趣旨のようだ。

ロシアの正統性、一度も議論されず

 そもそも、ロシアの国連資格への疑問が投げかけられるのはなぜか。

 1991年にソ連が崩壊した後、エリツィン大統領(当時)がソ連の義務、権利すべてを引き継ぐのは自国だと宣言した。しかし、国連の場で、ロシア代表権が議論され、了承されたことは一度もなかった。


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