2022年8月19日(金)

Wedge OPINION

2022年6月26日

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山添博史 (やまぞえ・ひろし)

防衛省防衛研究所地域研究部米欧ロシア研究室 主任研究官

ロンドン大学スラブ東欧研究所修士、京都大学人間・環境学研究科博士。2008年から防衛研究所勤務、英国在外研究なども経験。専門はロシアの安全保障、国際関係史。

 ウクライナ破壊を諦めぬプーチンと、それを是認するロシア国民。戦争終結の糸口は見えない。ソ連崩壊から30年、なぜロシアはここまで自己を顧みることができなくなってしまったのか。「Wedge」2022年7月号に掲載されているWEDGE OPINION「ソ連の遺産を損なうプーチン ロシア社会に不足する「力」」では、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
5月9日の戦勝記念日で演説するプーチン大統領。政権や侵攻への国民の支持は依然高い (CONTRIBUTOR/GETTYIMAGES)

 ロシアによるウクライナ侵攻には、数々の非合理や不可解が指摘されている。まず確認しておきたいのは、ロシアが軍事衝突や経済危機に脅かされてもいないのに、リスクの高い大規模侵攻を起こし、何の正当性もない民間人殺戮をウクライナで続けていることである。戦闘行為停止の希求も、この不当さ、無益さを抜きにしては論じがたい。

 軍事行動の正当性の根拠も納得しがたい。ロシアでの主流の言説は、「ウクライナの支配層はネオナチで、ロシア系住民を攻撃してきた」というものである。もしそれが真実なら、紛争地域で監視を行ってきた欧州安全保障協力機構(OSCE)の証拠を用いて国連安保理で審議し、国際的監視を強めて紛争激化を防止するよう提案し、仮にそれが奏功せず軍事作戦を行うなら、保護対象である現地住民に被害が出ない作戦遂行に努めるのが、責任ある国連安保理常任理事国であろう。

 しかし現実のロシアは、「ネオナチによる破壊」と言っているものよりはるかに大きな破壊を現地住民にもたらしている。この言説と現実のギャップは大きく、プーチン政権は「軍事に関する偽情報の流布」を違法化し、現実の流布を妨げようとしている。

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