2025年12月5日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年9月2日

 夏の風物詩としても親しまれる「ウナギ」。前回『スーパーに並ぶ「中国産」ウナギの蒲焼きはどこから?稚魚が遡る河川のない香港からの大量輸入…ウナギ取引を覆う黒い闇』では、日本の店頭にも並ぶ中国産のウナギについての問題を指摘したが、日本のウナギも問題だらけである。

(kuppa_rock/gettyimages)

 香港からの〝密輸入〟を事実上黙認し、世界からの取り締まり強化への動きに対しても、官業総出で「反対」する姿勢を見せている。今一度、トレーサビリティ強化を進める必要がある。

台湾発香港経由の「稚ウナギ密輸三角貿易」

 問題の一つは、国内で採捕された稚ウナギのうち、出所が不明の「黒い」ウナギが相当量存在している点である。

 水産庁の資料によると、2024年漁期(23年11月~24年5月)のニホンウナギ稚魚国内推定採捕量は7.1トンであるところ、各都道府県から報告された量は70%の5トンにとどまる。逆に言うと、残り30%は出所が不明な未報告・密漁由来の「黒いウナギ」ということになる。

 稚魚の輸入についても重大な問題がある。養鰻業者は国内産のウナギ稚魚だけでは養殖池を埋められないことから、国外から輸入している。「財務省貿易統計」によると、24年のウナギ稚魚の7割以上である9トンを香港から、0.5トンを台湾から、3.1トンをフィリピンから輸入している。

 前回も指摘したが、香港には稚ウナギが遡上するような川はなく、稚ウナギの原産地ではなく中継貿易地である。ところが香港政府統計では、ここ数年のウナギ稚魚の輸入元でニホンウナギの生息国(中国、台湾)が原産のものは極めて少ない。24年に至っては、その量はゼロである。

データ出典:The Government of the Hong Kong Special Administrative Region, “Interactive Data Dissemination Service for Trade Statistics” 写真を拡大

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