2022年9月28日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年3月26日

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真田康弘 (さなだ・やすひろ)

早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授

神戸大学国際協力研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構などを経て、2017年より現職。

 「熊本県産」とされていたアサリの多くが、実は中国や韓国産であることが発覚した事件は記憶に新しい。農林水産省が昨年10月から12月にかけて全国の広域小売店を調査したところ、「熊本県産」とされていたアサリの実のうち、97%が外国産の疑いがあると発表したのである。

 この期間には2485トンのアサリが「熊本県産」として販売されていることが推定されるのに対して、熊本県のアサリの年間漁獲量は21トンにすぎない。どう考えても数字が合わない 。この時期に全国で販売されているアサリの79.2%が「熊本県産」で、「熊本県産」アサリの流通が止まったことから、スーパーで国産のアサリが消え、関係者は対応に追われた。

海外からの水産物を日本が輸入する際、現状ではトレーサビリティを担保できていない(ZUMA Press/アフロ)

 昨年11月には、青森県・大間漁業協同組合所属の一部漁船がクロマグロの漁獲を過少申告していることが明らかとなっている。同漁協所属の一部のマグロ漁船が、漁協を通さずにマグロ仲買業者などに直接流通させていたのである。

 大間漁協は6~9月分として計14トンの未報告分を追加報告している 。クロマグロは漁獲量が国際合意によって制限をかけられており、都道府県や漁法別に枠が定められている。未報告は漁業法に違反する 。実際のところ、未報告のマグロはこの14トンだけにとどまらず、明るみになった一件は氷山の一角との見方もされている。

長く密漁、密輸が指摘されているウナギ

 さらに密漁・無報告のものが蔓延していると指摘されているのがウナギの稚魚、シラスウナギである。日本では2021年漁期に合計24都府県で計7トンのシラスウナギの採捕が報告されているが、水産庁の算出した国内推定採捕量は11.3トンにのぼる 。合計4.3トン分のシラスウナギが密漁・無報告由来の疑いがあることになる。

 シラスウナギの規制は各都府県別に実施されているのだが、一部ではシラスウナギの仕入れ値が市場価格より低めに設定されているため、安値で買いたたかれることを嫌う採捕者が表ルート以外に流すことが問題を一層複雑にしている。

 シラスウナギについては海外からも違法由来のものが流入している。20年7月から21年5月までに日本に輸入されたウナギの稚魚9570トンのうち、約3分の2を占める6120トンは香港からだが、香港に稚ウナギの遡上するような川はない。

 香港からの稚ウナギの輸入が急増するのは07年になってからだが、この年はそれまでウナギ稚魚最大の輸入元だった台湾が輸出を原則として禁止した年に当たっている。以来、稚ウナギは一旦香港に密輸され、香港から日本に合法的なかたちで再輸出されるという、「ウナギロンダリング」が行われているのである 。

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