2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年9月22日

 ほぼ全ての大学生が給付奨学金を受けるか、あるいは学生ローンを組んで大学に行き卒業後返済する仕組みになっている。しかし、「そもそも大学に行けない学生への支援が必要なのだ」との上記社説の指摘は理解できる。これらの人々は失業し、仕事を得ても低所得層になる。他方、今回決定は中間選挙にはプラスになるだろう。

中間選挙の行方はいかに

 これでバイデンの中間選挙への準備は、ほぼ整った。8月には気候変動対策、薬価の引き下げ、財政赤字削減を含む大型目玉法案(インフレ削減法案)が民主党内の妥協により突破口ができ、議会を通過した(16日バイデンが署名、成立)。

 その直前には半導体産業支援法が成立、6月には銃規制法が、昨年秋にはインフラ投資法が成立した。ウクライナ戦争についても今のところ基本的に手堅く対処していると受け取られているだろう(米国のイエレン財務長官が主導してきたロシア産石油の輸入価格上限設定案も9月2日に主要7カ国(G7)で合意、12月15日から実施する――実際には輸送保険受付を規制する)。

 バイデンを始め民主党内も一頃と比べるとやや楽観的ムードになっているようだ。メディアには民主党が持ち直しているとの見方も出ている。中間選挙は政権党が議席を減らすのが通例だが、このまま行けば民主党善戦もあり得るのではないか。

 今後カギとなるのは、インフレやエネルギー価格など経済の動向、トランプを中心とする共和党の動き、ウクライナの状況、バイデンのパフォーマンスであろう。トランプについては、共和党内で力を増せば増すほど、リスクも増す。マール・ア・ラーゴでの公文書保有等を見れば、同人が大統領の資質を欠くことは明白である。

   
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