2022年9月27日(火)

バイデンのアメリカ

2022年8月10日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 トランプ前米大統領が、2024年大統領選出馬への意欲をちらつかせ始めるにつれて、これを熱烈支持する保守過激派と、〝トランピズム〟と決別し、本来の共和党路線に立ち返るべきだとするグループとの間で対立が露呈し始めた。

(ロイター/アフロ)

勢いづくトランプ派の勝利

 共和党内におけるトランプ支持基盤は、20年大統領選で敗れ、ホワイトハウスを去った後も、依然衰えを見せていない。

 去る5日、行われたアリゾナ州知事予備選では、トランプ氏が積極的に後押してきたカリ・レーク候補が、マイク・ペンス前副大統領、ダグ・デューシー現知事の推薦を受けた対立候補に競り勝った。レーク女史は、前回大統領選挙結果について、バイデン大統領の当選を認めず、「選挙は略奪された」とのトランプ氏の主張をそのまま叫び続けた候補だっただけに、主要メディアは、予想外の開票結果を一斉に大きく報道した。

 ミシガン州で同日行われた連邦下院議員予備選でも、ピーター・マイヤー現職議員がトランプ氏の推薦を受けた新人候補に敗れたほか、同州知事予備選でもトランプ支持候補が勝利した。

 こうした流れを受けて、トランプ熱烈支持者の間では、トランプ氏が11月中間選挙前の早いタイミングで次期大統領選への正式出馬表明を求める声が高まりつつある。同氏側近たちの間では、その具体的時期について「9月中」とする見方が多く、それより出来るだけ早い方がよいとの声もきかれる。

 トランプ氏自身もすでに、出馬表明を見据え、その後の選対本部長の人選、選挙資金面での大口献金者リスト作成などを側近に指示したという。

 トランプ陣営が「早期出馬表明」を支持する理由として、①中間選挙より前に方針を明らかにしなかった場合、仮に中間選挙で共和党が勝利したとしてもトランプ氏の功績になりにくい、②しかも、来年1月から共和党が最低でも下院を支配すれば、トランプ氏とは距離を置く同党主流派が勢いづく、③逆に早期に出馬意向を固め、具体的に動き出せば、各州共和党支持層の間で政治参加への関心が高まり、中間選挙を有利に戦える――などのシナリオが考えられるからだ。

 この点に関連して、側近でトランプ大統領当時の顧問だったジェイソン・ミラー氏はネット・メディアとのインタビューでこう語っている:

 「もし、11月中間選挙で共和党が大勝し、彼が次期大統領選への出馬を表明していなかったとしたら、彼に批判的な勢力や出馬に意欲を見せている他の共和党政治家たち、それにマスコミがこぞって『2024年選挙はトランプ抜きでも勝てる。党としても彼以外の候補探しをすべきだ』などと言い始めるに違いない。そして、民主党側も、その点を大統領選本番で突いてくるだろう」

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