その情報が企業にとっていかに重要な情報であっても、営業秘密に当たらない場合には不正競争防止法の保護が及ばない。秘密を秘密として管理することがデータを守るためにも、流出した際に法的な措置を取るためにも最重要だ。
必要なのは継続的なルール管理と社内周知
そして、営業秘密を秘密として管理し続けるためには、それを可能とする社内体制を整備することが必要だ。具体的には、社内で情報管理ルールを整備すること、情報管理の責任者や指揮命令系統を明確にすること、そして何よりも役員や従業員の意識の向上を図ることが求められる。
社内の情報管理のためには、一度ルールを決めて終わりではなく、社会情勢や経営環境の変化を反映した継続的なルールの見直しと、定期的な社内研修等による従業員への周知徹底を図らなければならない。
とりわけ、ITシステムに関する状況は時々刻々と変化している。例えば、企業が自社のデータ管理に社外のクラウドサービスを利用するケースは数年前と比べて各段に増大した。新たなサービスに対応したルールを策定し、個々の従業員がルールやリスクを理解しない限り漏えい事故は防げない。
そのように厳格に管理されている情報を持ち出し、ライバル企業の利益のために使用するような場合には、民事、刑事の両面で厳しい制裁が待ち受けていることは言うまでもないだろう。