2024年3月4日(月)

ビジネスと法律と経済成長と

2022年10月13日

 このように不正競争防止法は、営業秘密の保護に向けた厳しいルールを設けている。そのため、とりわけ営業秘密に接する機会の多い企業の役員や幹部社員、経理等の担当者は、秘密の保持に気を付けなければならない。

 特に、たまたま退職時に削除し忘れていたデータを流出させてしまうケースには要注意だ。たとえ、故意に流出させたわけでなく、不正競争行為に当たらない場合であっても、情報管理ができていないと見なされて信頼を失いかねない。転職など人材流動性が高い昨今では、こうした信用が後のキャリア形成に大きく影響を及ぼしてしまうだろう。

 企業の役員や重要な情報を扱う部門の従業員は、会社を退職する時点で、営業秘密をすべて返却ないし処分したことを会社との間で確認しあい、そのことについて、確認書等を取り交わすことが望ましいだろう。

重要な情報でも「営業秘密」にならないことも

 他方で、企業の側としては、営業秘密を流出させないために、どのようなことに注意する必要があるだろうか。

 最も重要な点は、営業秘密を秘密の状態で管理することだろう。経営上の重要な情報であっても、単に社外に公表していないというだけでは、不正競争行為の対象となる「営業秘密」とはみなされない。

 一般的には、不正競争防止法上の「営業秘密」とされるためには次の3つの要件を満たす必要がある。

①アクセス制限をかけているなど秘密管理のための措置が取られていて、従業員らが秘密であることを認識できる状態にあること(秘密管理性)

②実際に事業活動に利用されており、企業にとって有用な情報であること(有用性)

③一般に知られておらず、情報の保有者の管理下以外では一般に入手できないものであること(非公知性)

 企業にとっては秘密管理性を保つことが課題だ。例えば、営業上の重要なデータが社内の共有サーバーに保管されており、誰でも持ち出すことができるような状態にある場合、営業秘密にはあたらない可能性がある。


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