2022年10月7日(金)

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2022年9月15日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

 中部運輸局は、2022年9月1日、路線バス会社の伊豆箱根バスに対し、バス2両につき各25日間の車両使用停止の行政処分を課したことを発表した。今回の処分は、同社の運転手が、路線バスの運行中、マスクを着用していない乗客に対して着用を求めたところ、乗客がこれに応じなかったので、バス停以外の場所で降ろしたことに対してなされたものだ。

(Chan2545/gettyimages)

 これに対しネット上では、「この行政処分は厳しすぎる」「運転手さんがかわいそう」といった批判の声と、「すべての場所でマスク着用を強要されてはならない」「妥当な判断」といった賛同の声が飛び交った。路線バスという公共交通機関での「マスク着用義務」は、法的にどのような位置づけにあるのだろうか。

「正当な理由なく」乗車拒否してはいけない

 路線バス(乗合バス)の運行は道路運送法で規律されており、バス会社は法律や運送約款に従って路線バスを運行しなければならない。そして路線バスの運転手は、法律が定める正当理由がある場合を除いて、乗客の乗車を拒否したりまだ降りたくない乗客を途中で降車させたりすることはできない。運転手が正当な理由なく乗客にバスから降りるよう命じることは道路運送法違反にあたる。

 また、路線バスは運行ルートや運行回数、運行時刻などを定めた運行計画を事前に届け出たうえで、それに沿ってバスを運行する義務がある。そのため、運転手が事前に届け出たバス停以外の場所で乗客を降ろすことは、やはり道路運送法違反にあたる。

 もっとも、新型コロナウイルス感染拡大の問題から、公共交通機関でのマスク着用が呼びかけられている。そんな中で、乗客にマスクの着用を求めても応じなかったことは、乗車拒否等の正当理由にはならないのだろうか。

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