2024年11月21日(木)

知られざる高専の世界

2022年11月18日

ソーシャルドクターとして
世界を変えていく

 日本が科学技術立国で復活するためには、高専人材の価値を再考するべきではないか。前出の東工大益学長は「組織も個人も学び続け、変わり続けるという前提に立てば、18歳の受験の結果だけをいつまでもモノサシにしていては、日本からイノベーションは生まれないだろう」と問題提起する。

 高専側もこれまで以上に変わらなければならない。「最終的には高専が、あるいは高専生自身がもっと声を上げて、周りを巻き込み、内側から殻を破っていくしかない」と高専機構の谷口理事長。そして学生にはこう語りかける。「ソーシャルドクターとして技術と発想、行動で世界を変えていくことが高専生の使命である」。

 高専生の先駆者の活躍も目覚ましい。IT企業フラー(千葉県柏市)の創業者の渋谷修太会長や、金融機関では異例の高専出身のトップであるセブン銀行の松橋正明社長、「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)の井手直行社長など、高専出身者の勢いはとどまるところを知らない。巻き上がるうねりは、日本社会を覆う暗雲を突き抜けていくはずだ。

※筆者の連載「知られざる高専の世界」(本誌2021年9月号から22年6月号までの全10回)はWEB版でご覧いただけます
 
 『Wedge』2022年12月号では、「平成日本の停滞感 サッカーなら打開できる」を特集しております。全国の書店や駅売店、アマゾンでお買い求めいただけます。
 平成の時代から続く慢性的な不況に追い打ちをかけたコロナ禍……。 国民全体が「我慢」を強いられ、やり場のない「不安」を抱えてきた。 そうした日々から解放され、感動をもたらす不思議な力が、スポーツにはある。 中でもサッカー界にとって今年は節目の年だ。 30年の歴史を紡いだJリーグ、日本中を熱気に包んだ20年前のW杯日韓大会、 そしていよいよ、カタールで国の威信をかけた戦いが始まる。 ボール一つで、世界のどこでも、誰とでも──。 サッカーを通じて、日本に漂う閉塞感を打開するヒントを探る。

◇◆Wedge Online Premium​(有料) ◆◇

 
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。
Wedge 2022年12月号より
平成日本の停滞感 サッカーなら打開できる
平成日本の停滞感 サッカーなら打開できる

平成の時代から続く慢性的な不況に追い打ちをかけたコロナ禍……。国民全体が「我慢」を強いられ、やり場のない「不安」を抱えてきた。そうした日々から解放され、感動をもたらす不思議な力が、スポーツにはある。中でもサッカー界にとって今年は節目の年だ。30年の歴史を紡いだJリーグ、日本中を熱気に包んだ20年前のW杯日韓大会、そしていよいよ、カタールで国の威信をかけた戦いが始まる。ボール一つで、世界のどこでも、誰とでも─。サッカーを通じて、日本に漂う閉塞感を打開するヒントを探る。


新着記事

»もっと見る