日米同盟の中で反撃能力を生かす
最後に、日本が反撃能力を保有する目的は抑止力の維持・向上であるが、この抑止力は日本が保有する反撃能力だけで成り立つ訳ではない。抑止力の大半は同盟国たる米国の打撃力が担い、日本の反撃能力はこれを補完する位置づけとなろう。従来は、日本防衛に関しては日本が盾の役割を担い、米国が矛の役割を担ってきたが、これからは、日米が矛の役割を分担することとなるため、「ソフト」の構築においても日米協力が不可欠だ。
なお、日本政府が朝鮮半島有事や台湾有事を存立危機事態と認定した場合、集団的自衛権の行使が可能となる。このため、日本が攻撃されなくても、これらの有事の中で相手国が行う米軍や米国本土に対する攻撃を日本が反撃能力を活用して阻止・妨害することができる。
こうした集団的自衛権行使の手段として反撃能力を活用することについては、専守防衛の立場に反するとの見方もある。しかし、米軍や米国本土に対する相手国からの攻撃を日本が看過すれば、日米同盟は瞬時に崩壊し、世界の中で日本は孤立する。それを避けるためにも、存立危機事態において反撃能力を活用するための「ソフト」の構築が必要だ。
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安全保障といえば、真っ先に「軍事」を思い浮かべる人が多いであろう。だが本来は「国を守る」という考え方で、想定し得るさまざまな脅威にいかに対峙するかを指す。日本人の歪んだ「安全保障観」を、今、見つめ直すべきだ。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
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