2024年11月22日(金)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年12月14日

 2番目は、入院の体制である。2類の場合は「指定医療機関」となるが、新型コロナの場合は少し緩くなっており、法律上は「都道府県指定の一般病棟も可」となっている。これを「5類」にすると一般医療機関への入院も可能になるし、発熱外来などを区分けする必要もなくなる。

 一般論から言えば、これは一般の医療機関に拡大していいし、陽性になり初期の症状が出たら「かかりつけ」の家庭医の処方で治療薬を投与するので全く問題はないと思われる。米国では多くの州でそうなっている。

 その場合の感染対策は現場のノウハウとして、対策ができなければ受け入れないという判断も許せば良いだろう。勿論、医療の現場が混乱しては困るが、制度上は枠を外す方向で良いのではないか。

現実的な対応策とは

 3番目は、医療費である。現在は全額公費負担であるが、これを5類にすると通常診療になり一部自己負担が出る。この問題に関しては、一部負担にすることは感染拡大を抑制するためには恐らくマイナスでしかないと思われる。

 米国では、社会的な意識としてはほぼ「ウィズコロナ+ポストコロナ」になっているが、実際は感染拡大は変異株の周期に合わせて起きており、検査もワクチンも治療も必要となっている。そして全額公費という措置は当面続けられる見込みだ。

 この費用に関しては、まだまだ新型コロナに対して、社会的に「戦って行く」時期が続くのであるから、公費負担でいいし、財務省的な原理主義でそのカネをケチってみたら、思わぬマイナス効果が現出する危険もあるかもしれない。

 4番目は、届け出の問題だ。こちらはデジタルトランスフォーメーション(DX)の失敗という面が大きい。

 本来であれば、簡素な統一システムに簡便なユーザーインターフェース(UI)を付けて、強力なセキュリティで守りつつ、それこそ医療現場ではワンクリックで個別全数報告ができるようにすべきだった。それがどういうわけか、FAXがどうとか、超過勤務の元凶だというような話になり、散々混乱した挙げ句に、既に全数報告は不要となっている。

 この点に関しては緩和されているのだから、今更2類相当か5類かという議論の必要はなさそうだ。

 ということで、2類か5類か、あるいは2類相当かという議論については、

「行動制限はより一層緩和」

「病床は一般の医療機関で可能、但し対策の可能な医療機関のみ」

「医療費は引き続き全額公費」

「届け出は現状追認で簡素化」

という組み合わせが現実的と思われる。それが「2類でも5類でもない、新しいカテゴリ」ということになるのなら、それで良いのではないか。


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