2024年11月22日(金)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年12月14日

ダンマリを決め込む岸田政権

 あらゆる制限がより一層緩和される一方で、医療費だけは引き続き全額公費で賄われるとしたら、国民には安心感を持たせつつ、「ウィズコロナ」から「ポストコロナ」へ向かうことができるように思う。それにしても、これだけの社会的規模で影響が続いている新型感染症について延々と「既存の類型」に押し込めようという発想が不思議である。

 もう一つ米国から見ていて不思議なのは、特に現在の岸田文雄政権が新型コロナの「出口戦略」について世論を恐れ、ダンマリを決め込んでいる姿勢だ。日本は欧米に比べて集団免疫が未完なのだから、国民を説得してワクチン接種率を上げるべきだが、そのメッセージを出していない。児童生徒の接種率アップは、かなり重要な政策と思うが、一部の親の世論を気にして接種を促すことをしていない。

 そればかりか、メッセージを発信する適切な司令塔となる人物も置いていない。何もかもが、なし崩しでありながら、どこか世論の感情論に叩かれないよう姑息に息を潜めて動いている。これでは社会の閉塞感がダラダラ続くだけだ。政治に必要な決断力とコミュニケーション力を再構築する時期と思われる。

 

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