2024年12月13日(金)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年9月30日

 コロナ禍の期間中、日本が続けてきたいわゆる「水際対策」にようやく出口が見えてきた。日本政府は、10月11日から多くの国に対して、ビザなし渡航を再開するとともに、一日の入国上限を撤廃する。中国と並んで主要国の中では最も厳格な入国規制を敷いていた日本だが、ようやく「開国」となるわけだ。

(Ralf Geithe/gettyimages)

 このパンデミックの期間、欧米では実は日本への関心は高まる一方であった。食文化やアニメに加えて、片付け文化やシンプルなライフスタイルへの憧れ、また音楽のジャンルでは80年代の日本のポップ音楽への異常な関心の高まりなど、日本国内では知られていない文化現象が拡大していたからだ。

 今回の「開国」を機に、アジア、欧米の幅広いエリアから外国人旅行者が、相当な勢いで戻ってくるのは間違いない。また、これによって、日本の観光・運輸業界では、業績回復が期待できる。だが、完全な鎖国から全面的な開国へと、急にシフトするのは難しい。3点ほど留意点を指摘したい。

せっかくの需要を外資に奪われてはいけない

 1点目は供給をどうやって立ち上げるかである。まず国際航空路における便数の問題がある。

コロナ渦を受けて、世界の各国ではパイロットの大量離職の結果、深刻な人員不足に陥っている。また、一部の日系航空会社もそうだが、需要減を受けてフリート(航空機数)を削減したキャリアもある。

 このために急速な需要増に対応できずに、特に欧米の航空路では慢性的な供給不足が続いている。したがって、今回の「開国」に合わせて日本便を増便しようとしても100%に戻すのは難しい。特に日系航空会社の場合は、ダイヤの工夫をして需要増に対応する必要がある。


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