再び「おもてなし」モードに転換を
3つ目は感染対策である。一部には「マスクを嫌う欧米人」は、事実上マスク着用が強制される日本の習慣には反発する、そんな見方がある。だが、好きで日本に来る欧米人は、複雑な日本とのカルチャーギャップは相当に研究しており、日本がマスク社会ということは十分承知してやって来ることが想定できる。
米国の場合、日本文化に関心を抱く層は、南部などでマスク反対を叫んで暴力事件を起こす層とは全く重ならないのであって、この点に関するトラブルなどの心配は恐らく無用であろう。
それでも、外国人観光客の振る舞いは、コロナ禍で多くの「自主規制」を強いられた日本人とは異なることは想定される。例えば、マスク会食、アクリル板、黙食といった習慣は、欧米では皆無である。また、事前知識として知っていても、抵抗感が強いことが予想される。こうした点については、今回の「開国」を機に、純粋に医学的な意味のあるもの以外は、徐々に「正常化」してゆく契機とするのが良いだろう。
考えてみれば、鎖国から開国に転じた維新期にしても、終戦とともに価値観を180度転換させた経験にしても、日本人は国を急速に開くことには慣れている。その意味で、再び外国人へ心を開き「おもてなし」モードに戻るということについては、心配は無用と思われる。
いずれにしても、極端な円安が続く中では、外国人観光客が持ち込むの購買力のインパクトは相当な大きさになると思われる。これを日本の経済社会の活性化に結びつけ、観光や飲食の業界だけでなく、一般社会も含めた、社会全体が経済的なメリットを享受できるような工夫が何としても必要だ。