イベント感覚で節電に
このアプリの上手な点は、「イベント」と称してピーク時を予め予想、例えば「明日午後3時から8時までイベント開催」というような告知がある。利用者はオンラインを通してイベントに参加する、という感覚で節電に協力するのだ。そしてその結果が目に見える形でアプリに還元され、最終的に現金をゲットできる。特にZ世代と呼ばれる若者の間でこうした遊び感覚の節電が浸透しつつある。
しかしこのようなアプリが全米に広がった場合、ピーク時発電量が劇的に抑えられる可能性がある。現在ピーク時の電力需要に応えるために、ピーカー発電所を稼働させる電力会社が多い。これもカリフォルニア州北部の電力会社PG&Eなどではテスラの蓄電施設でピーカー発電所を廃止する動きがあるものの、全体としてはごくわずかだ。
一方でアプリによる群衆力で節電を行い、ピーク時の需要を抑えることができれば、いずれピーカー発電所が不必要となる社会の実現が可能となるかもしれない。米では早ければ2027年からガス給湯器の新規発売を禁止する動きがある。ますます電力に頼る社会になるわけで、増える電力需要に社会全体としてどう対応していくのか。その答えの一つが、このようなアプリなのかもしれない。