2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2023年3月23日

現状を放置していれば、議員の「なり手不足」や「高齢化」は進む一方

 町を離れた地元出身者や、出身者でなくても縁があって町に愛着を持つ人はいる。そうした“よそ者”にも議員への道を開けば、議会も活性化するに違いない。

 町村議会で開催される本会議の日数は、平均で年45日である。他に仕事を持っていようと議員は務まる。事実、専業の町村議の割合は、現在でも4人に1人以下に過ぎない。

 ただし、議会が開かれるのは平日の日中なので、サラリーマンなどにとっては議員との兼業は難しい。そうした問題は、夜間や週末に議会を開いたり、オンラインを活用すればクリアできる。全町村の1パーセント程度とはいえ、すでに「夜間議会」や「休日議会」を始めている自治体もある。オンライン議会が実現すれば、離れた場所に住んでいる人でも参加できる。

 こうした改革の声が、当の議員たちから上がることは期待できない。彼らにとっては、選挙が無投票で全員当選となることは好ましい。また、平日の日中に議会を開いていれば、サラリーマンなどの立候補が阻止され、時間に余裕のある人だけで議席を独占できる。ましてや、自治体外の人に議席を譲るための法律改正など、現職議員たちが求めるはずもない。

 だからとって現状を放置していれば、議員の「なり手不足」や「高齢化」は進む一方だ。議会は形ばかりのものとなり、現在でも乏しい住民の関心がいっそう薄くなっていく。それが問題だと考えるなら、私たち一人ひとりが改革を求める声をあげるしかない。

 『Wedge』2023年4月号では、「地方議会ってホントにいるの?」を特集しております。全国の書店や駅売店、アマゾンでお買い求めいただけます。試し読みはこちら
 あなたはご存じだろうか。自分の住む地方議会の議員の顔を、名前を、どんな仕事をしているのかを─。住民の関心は高まらず、投票率の低下や議員のなり手不足は年々深刻化している。地方議会とは一体、誰のために、何のためにあるのか。4月に統一地方選挙を控える今だからこそ、その意義を再考したい。
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る