就労人口の8割が従事する第一次産業
農業の可能性と課題
ブルキナファソでは、飲料水もさることながら、農業用水の確保も大きなテーマになっている。農業を含む第一次産業には、就労人口の8割が従事しており、中でも農業はブルキナファソの経済を語るうえで欠かせない分野だが、ポテンシャルがあると言われながら、まだ開花しきれていない分野でもある。
赴任したばかりの頃、マルシェ(市場)には色とりどりの瑞々しい立派な野菜が多く並んでいた。乾燥がひどくて限られた野菜しかないかもしれない、と当初思っていた想像は有難いほどに覆され、これだけ種類も味も揃っていれば健康的に赴任生活が送れると思ったものだった。年が明け3月、4月になるとマルシェの野菜がみるみる小さくなり、種類も減った。その貧弱さは一目瞭然である。
気温の変化ももちろんあるが、やはり乾季は水の確保がままならず、私の食卓の彩りにも陰りを生んだようだ。大まかな農業サイクルは、雨季にブルキナファソ農業の根幹をなす綿花や穀物の栽培。9月、10月にはそれらが大きく育ち、ブルキナファソ1番の実りの時期を迎える。その収穫後、雨季が明ける頃に、野菜栽培に移行し近隣の水源から水を確保して野菜を栽培する。つまり、雨季が終わり、綿花や穀物の収穫を終えたあたりからが、野菜の最盛期ということのようだ。そしてまた、乾季が進むにつれて野菜が減っていき、2月、3月頃には水が不足し栽培も滞る。
乾季の終盤にも、貴重な水(生活排水)を有効活用することで農業を可能にできないか。日本とブルキナファソとで、そんな共同研究も進んでいるのだが、乾季の農業用水確保はワガドゥグ近郊でさえも、まだ十分でない。
ブルキナファソと日本を繋ぐ農産品「ゴマ」
そもそもの栽培を支える水の確保と平行して、栽培した農産品を市場に出すことで農業をもっと確かな経済の基盤に、という動きも進んでいる。
ブルキナファソで頬張るように食べられるとは思っていなかったイチゴ。12月末から3月上旬にかけての季節には山のように出回るが、日持ちがせず国内・域内ともに輸送ルートが確立されていないため、十分な質を備えていながらほとんどが栽培近隣地での消費に留まっている。