イチゴの季節が終わると続いて出てくるマンゴー。こちらもイチゴ以上にあちこちで見かけ、何十種類もの品種に恵まれている。ヨーロッパや中近東での需要があると言われているため外貨獲得産品としての期待も高いものの、至る所に生えているマンゴーの木は、現在のブルキナファソの供給能力を超えて見事に育っているため、収穫しきれずに木に残ったままの実は、激しい雨季を迎えると地面に落ちて、そのまま腐っていく。また、ササゲ(塩茹でしトマトソースなどと食べる。主食の1つ)と言われるマメ科の作物も、西アフリカで広く需要があるため、周辺国への輸出可能性を持っている。
さらに、ブルキナファソと日本を繋ぐ農産品としてゴマも忘れられない。食用として日本がそのまま輸入できる質にはまだ達していないが、搾油用ゴマとして市場に出ており、日本で売られているゴマ油には、ブルキナファソのゴマも相当量含まれている。これも、味や見た目の質を上げていくことでさらなる輸出が期待できる農産品だ。
6月に横浜で開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)に出席したブレーズ・コンパオレ大統領は、ブルキナファソから同行していた新聞社のインタビューの中で「日本が関心を寄せているゴマをはじめ、架け橋となりうる商業項目の検討を進めなければならない」と語り、外に向けた農業について言及した。
農業で安定した経済を目指す
国の生き残りをかけたチャレンジ
内陸国という大きなハンデを背負いながらも、自給用だけではない自国産品の可能性を開花させることで、安定した経済を目指そうという試みに取り掛かったブルキナファソ農業。国内はもちろん、国境を接する周辺国や、産品によってはヨーロッパも市場として見据え、さらには日本まで。農業生産を推し進めることが、国の生き残りをかけたチャレンジと言っても過言ではない。
どの農産品が、ブルキナファソの顔として世界に売れるものか。これまで、金と綿花という二大外貨獲得手段があまりにも大きな存在であったため、他に主役となりうる農産品を発掘するところまでたどり着いていなかったのだが、ブルキナファソの農業は新たな可能性を探ろうとしている。
ワガドゥグを通り過ぎて北上していく緑のラインを肌で感じながら、この雨季に降る水がブルキナファソの産業と暮らしを支えていると思うと、家の中が水浸しになろうが、もっと降れ降れ、と願ってしまう。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします