日本では、食料自給率というと通常、カロリーベースを指すため、国内野菜を多く消費していても、カロリーベースにすると食料自給の貢献度は低くなる。読者の皆さんは、日本国民の買い物時の感覚からすると、日本の食料自給率は低過ぎると感じていないのではないだろうか?
同じ食料自給率でも、金額ベースでは日本は63%ある。これは、英国やスイスより上で、ドイツと同程度である。カロリーベースだけで日本の食料自給率を評価すると、日本の農業の貢献度が正確に反映できていない可能性があるのではないか。
農業は高齢者の仕事なのか
さらに農業を含めた農林水産・鉱業部門の所得も他の業種に比べると高くないが、その平均年齢を注目する必要がある。日本の生産者の平均年齢は68歳であり、他の業種では退職している年齢である。
こうしたデータの反面、現場ではまた違った動きが出ている。
メガネ産地で有名な福井県鯖江市にある農事組合法人エコファーム舟枝は、経営面積約50haで、米、大麦、大豆、ブロッコリーなどを栽培する。社員の高齢化が今後の経営に課題になりつつあった中、20年、地元の農業高校を卒業した若手が加わった。
3年目を迎えた濱野凌汰さんは「農作業と言っても、農業機械を使うことが多く、想像していたより、楽。元々機械に興味があったので、毎日が楽しい」と語る。