「この装置は私たちが作ったのです」。三重県名張市の農事組合法人「忍の里」の山本晃社長は胸を張る。この装置とはキャベツの選別装置で、外葉の枚数と重量の組み合わせを識別するAI機能により業務用と生食用のキャベツを仕分けする。身体障碍者らにもキャベツの選別ができるように自作されたそうだ。
開発したのは、元IT企業社員だった忍の里のスタッフ。選果の結果は、重さや形などをスクリーンに分かりやすく表示し、収穫したキャベツを出荷先ごとに分けやすくしている。農業の現場が求める用途に準じて発案されたシステムで、この作業に関わる人なら誰でも使いこなせるようなユーザーインターフェースを実現している。
実は忍の里では、他にも業務用として出荷するためのダマネギ皮むきロボットなどさまざまな機器の自作に取り組み、農作業の効率化を進める。自社で開発しているのは、大手農機具メーカーなどの汎用品は用途が限られており、自社の細かいニーズに対応しきれていない部分があるためだ。
写真のように、ハウス内の除草ロボットも開発中だ。「圃場に人間が入ると圧力がかかり、この刺激で、雑草の生育を促してしまう。ロボットならばその心配がない」(山本晃さん)そうだ。