2024年12月22日(日)

お花畑の農業論にモノ申す

2023年2月13日

 昨年12月27日、内閣総理大臣を本部長とする「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」が「食料安全保障強化政策大綱」を取りまとめた。そのポイントは2つで、喫緊かつ最重要課題である「食料安全保障の強化」のための重点対策と新しい資本主義の下で講ずる「他の」主要施策である。後者には、「過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換」として、これまで推進されてきたスマート農林水産業等による成長産業化、農林水産物・食品の輸出促進、農林水産業のグリーン化が含まれている。

(deyanarobova/gettyimages)

 なお、このうち、輸出の促進については、今国会における岸田文雄首相の施政方針演説でも取り上げられ、目標額2兆円を2025年から前倒しするとされた。

 また、食料・農業・農村基本法については、目下、その見直しの検討作業が進行中で、この夏ごろの取りまとめも予想される。24年の通常国会で改正法案の提出も視野に入れ、この結果を踏まえて、「政策大綱」も必要に応じた施策の見直しが行われることとなる。

 そこで、「鳥の目、虫の目、トンボの目」と、見る角度を変えながら、主に大綱「Ⅲ食料安全保障の強化のための重点対策」の注目点を読み解き、その意図するところ、実現への道筋、留意点、乗り越えるべき障害などについて見ていくこととする(太字、下線部分の解説である)。

 本論に入る前に、一点だけ強調しておきたい。食料、資源、エネルギーの危機といわれ、約1年が経過したが、その国際市況は、急速に鎮静化しつつあり、見方によっては「危機到来前の水準」のものもある。目の前の事象にとらわれて、食料安全保障政策が一過性、元の木阿弥にならないよう、それこそ国民消費者の理解を得ながら息長く継続してほしいのである。


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