2024年3月2日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年7月7日

 ここでは、この問題を、最近はやりの「グローバル・サウス」への対応という視点から論じてみたい。まず、「グローバル・サウス」と呼ばれる国々が同一の立場を取り協働しているという実態はない。冷戦期の「非同盟諸国」でさえ、その内情は、インドは対中考慮でソ連に近付き、インドネシアは、対共産圏防壁としたい米国からの働きかけで実際は米国に近い立場を取らざるを得ない、というように、各国の事情に応じて微妙に異なる立ち位置を取っていた。

 今や、米、中、インド他、冷戦時代以上に「極」は増えており、その中で各国は個別の案件ごとに微妙に立ち位置を調整しているのが実態だ。従って、「グローバル・サウス」への対応は十把一絡げではなく、個別の国の状況に応じて「テーラーメード」で行う必要がある。

 そもそもわれわれの本質的目的は、このような情勢下、自らに近い立ち位置を取る同志国を増やすことだ。そのためには、建前は別にして、実際上は、外交関係である程度のプライオリティ付けは不可欠である。われわれの資源は限られているのであり、「同志度」の高い国にある程度集中的に資源を投資する、「選択と集中」が必要だ。

ラテンアメリカは米国の「担当地域」

 そのためには、同盟国の間で一定の役割分担を行うことが必要になる。歴史的にも地理的にも、日本は東南アジア各国に対して、各国の立ち位置に応じたテーラーメードの外交を行ってきた。名目国内総生産(GDP)が世界60位以内の国の中で、「グローバル・サウス」と目される国は、日中韓を除く北東・東南・南アジア22カ国の中で10カ国と、他の地域に比べて数も割合も最も多い。

 一方、アフリカと中東は、本来欧州が中心になって対応すべきだが、現状はとても十分とは言えないだろう。名目GDP60位以内には、中東では17か国中8カ国。一方、アフリカには未だにGDP30位以内の国はなく、60位まで見ても、54か国中5カ国しかいない。

 そして、やはりラテンアメリカは米国の担当と言わざるを得ないだろう。中南米32カ国のうち、名目GDP30位以内の国はブラジル、メキシコ、アルゼンチンのG20衆、60位まで広げても、全6カ国に過ぎない。

 確かに、米国は世界を相手にしているし、相手にせざるを得ない状況にある。欧州が十分その責任を果たしていない中で、今後、アフリカ、中東への関与を再強化する必要も出てきうる。

 だからと言って、ラテンアメリカでの米国の対応が十分でなくて良いということにはならない。選択と集中を軸にラテンアメリカ外交を再構築することが米国の急務である。とりわけ、同地域で第一の国力を誇りBRICSのメンバーでもあるブラジルとの関係は避けて通ることはできない。米国には「反米」のルーラ大統領に「抱き着く」位のことが望まれる。

   
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