2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月20日

 むしろ、優先順位を与える必要があるとすれば、それは経済、防衛などの実務的問題に対する、靖国参拝、憲法などのより思想的な保守的アジェンダとの間の優先順位でしょう。

 各種の保守的アジェンダの間にどういう優先順位を与えるかは、戦略的に考えれば自ずから出て来ます。

 防衛費を増額し、集団的自衛権を認め、ガイドラインと防衛計画の大綱を見直すことは、中国にとって、最も不利なことであり、あらゆる手を尽くして妨害すべき対象です。しかし、これは米国の国益と全く一致するため、中国としては反対する余地はありません。

 反対する方法があるとすれば、それを日本の右傾化の一部と捉え、アメリカの中の一部リベラルな分子、および第二次大戦中の旧敵国の感情に訴えることです。上記の二つの社説を見るだけでも、その工作が少なからざる効果を持つことが予見されます。

 とすれば、日本の戦略的選択は明らかです。すなわち、靖国参拝、河野談話、村山談話の見直しなどは、後回しにして、まず集団的自衛権行使の容認と防衛費の増額に集中すべきです。

 憲法の改正はその両方に関連する問題ですが、集団的自衛権の行使は、本来、憲法の改正を必要としません。また、右傾化の国際的批判を避けるためにも、両者は切り離すべきです。

 こうして、まず日米同盟関係を盤石なものとしてからならば、今後最低3年の安倍内閣の任期のうちに、より大きな保守的アジェンダを次々に解決する時間的余裕は十分あると思われます。

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