2024年12月27日(金)

バイデンのアメリカ

2023年8月17日

 コロナ危機以来、常態化しつつあったビジネスパーソンの「リモートワーク」はいつまで認めるべきか――。その是非めぐり米国で論議が沸騰しつつある。

(Andrii Iemelyanenko/gettyimages)

依然として在宅勤務が多い米国

 背景には、コロナ禍が終息に向かい始めて以来、ビジネスパーソンの7割以上が職場復帰したといわれる諸外国と比べ、米国では依然として在宅勤務者が多く、経営者側の不満が渦巻いている事情がある。

 コロナ発生以来、企業の職場実態を追跡してきた調査機関「WFH Research」(本部米スタンフォード大学)が公表した今年6月時点の最新データによると、米国の主だった企業の場合、職場への「完全復帰者」は全体の59%だったのに対し、「フルタイム在宅勤務」が12%、オフィス通勤と在宅勤務の両方をミックスした「ハイブリット」型が29%だった。

 オフィスへの完全復帰をいまだに渋っている従業員は、全体の41%とかなり高い割合であることを示している。

 また、勤務者のうち、「大学卒」に限定した場合、「ハイブリット」型が43.2%、「フルタイム在宅勤務」が14.7%と、知識集約型職種ほど、自宅勤務者が多いことも明らかになっている。

 さらに、「ハイブリット」型について、「WFH Research」が諸外国の大学調査機関とタイアップして行った各国比較調査(2023年4~5月)によると、「1週5日当たりの在宅勤務日数」は、日本「0.5日」、中国「0.8日」だったのに対し、米国は「1.4日」と、日本の倍以上だった。

 米国のビジネスパーソンの多くが、「ハイブリット」型も含めリモートワークを志向する理由として、①オフィスへのマイカー出勤は、渋滞などで時間がかかりすぎる、②精神的ストレスが多い、③自宅で仕事するほうが能率的、④(母子・父子家庭の場合)子どもの世話と仕事が両立できる、⑤退社時間を気にせず長時間仕事ができる――などが挙げられている。


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