2024年5月26日(日)

バイデンのアメリカ

2023年8月17日

真面目に働く人も多いという指摘も

 このほか、経済誌「Forbes」は、リモートワークのマイナス面として以下のような点を列挙している:

① 実際は在宅勤務者の40%が「仕事時間」と「仕事外」の仕分けにとまどい、ストレスを感じており、オフィス勤務者(25%)よりはるかに多い

② このため、在宅勤務者の42%が睡眠不足に悩んでいる(オフィス勤務者20%)

③ 同居パートナーとの間のドメスティック・バイオレンス報告件数がコロナ感染拡大以来、急増しており、リモートワークの普及との関連が指摘されている

④ 在宅勤務者は、会社の同僚との競争を意識し、長時間デスクに向かう傾向にある

 しかし、こうした経営者側のリモートワークに対する否定的見方とは対照的に、オフィスより自宅でこなす仕事量が多いことを示すいくつかの客観的データもある。

 たとえば、「Microsoft」社が従業員6万人を対象にした勤務実態調査によると、在宅勤務者の1週間当たり勤務時間は、平均10%増えていることが分かった。これは、通勤に要する時間分にほぼ相当するという。

 また、米国のみならず、海外27カ国における別の調査でも、在宅勤務者は1日当たり平均72分の通勤時間を節約できており、その結果、週平均の自宅勤務時間が2時間以上も上回っていることが指摘されている。

 この点について、経営マネジメントが専門のマシュー・ビッドウェル・ペンシルバニア大学ウォートン・スクール大学准教授は、電子メディア「The Hill」とのインタビューで「全体を俯瞰した場合、被雇用者の80~90%はオフィスであれ、自宅においてであれ、責任感が極めて強く、まじめに仕事についている」「経営者が問題視する『怠慢社員』の中には、たしかに在宅中に別のアルバイトをしているケースもたまにみられるが、むしろ例外的と見た方がいいだろう」と論評している。

 仕事と家庭の両立問題に詳しい南フロリダ大学のタミー・アレン心理学部教授も「社員たちの多くが、家庭でも仕事が許されるというありがたい特権を失わないためにも、オフィス出勤以上に真剣に、しかも長時間働こうとする傾向がある」と分析している。

 その結果、在宅勤務希望者は年々増えてきており、世論調査機関「ギャラップ」社が今年初めに実施したアンケート調査によると、「週のうち何日でもいいから自宅で仕事がしたい」と回答した人は、19年時点の40%から94%にまで倍増しているという。

 さらに、職種によっては、社内のそれぞれの分野の担当者が、オフィスで何回も集まって長時間議論するより、自宅にいて必要な時だけにお互いにリモートで意見交換するほうが生産性も高くなるという調査データもある。

 結局、米国の経済成長がさらに続くかぎり、求人難、人手不足に頭を痛める業界では、経営者側も従業員の希望にある程度耳を貸さざるを得ない状況にあり、今後も折衷案としての「ハイブリッド」型勤務形態が長期にわたり持続していくことになるとみられている。

   
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