2024年12月22日(日)

2024年米大統領選挙への道

2023年8月22日

(Alexey Krukovsky/gettyimages)

 今回のテーマは、「トランプ4回目の起訴と注目点」である。南部ジョージア州大陪審は8月14日、20年米大統領選挙の結果を共謀して覆そうとした疑いで、ドナルド・トランプ前大統領と共謀者18人を起訴した。同前大統領への起訴は4回目となった。

 トランプ前大統領はすでに機密情報持ち出しで40件、20年米大統領選挙の結果を認定する手続きを妨害するために共謀した疑いで4件、元ポルノ女優への口止め料を弁護士費用として帳簿を改ざんした疑いで34件の罪で起訴されている。これらに今回の13件を加えると、「合計91件」もの罪で起訴されたことになる。

 本稿では、21年1月6日に発生した米連邦議会議事堂襲撃事件をめぐる3回目と、ジョージア州での4回目の起訴を比較しながら、4つの注目点を挙げてみる(図表)。

恩赦と捜査

 3回目と4回目の起訴は、一体どこがどう異なっているのか。第1に、恩赦と捜査である。合計4回のトランプ起訴の中で、ジョージア州における起訴が注目されている主たる理由はここにある。

 トランプ前大統領はジョージア州法に違反し、起訴された。大統領には、機密情報持ち出しで起訴された2回目および、3回目の連邦法違反の罪に対して恩赦が与えられている。従って、有罪になっても、自己恩赦を出すことが可能だ。

 しかし、恩赦はジョージア州法違反の罪には適応されない。24年米大統領選挙に勝利しても、トランプ前大統領は自身や共謀者に恩赦を出せないのだ。ということは、同前大統領が同州で有罪になった場合、収監を免れるのは困難であるということである。

 また、トランプ前大統領がジョージア州で、恩赦をエサにして、共謀者が検察と司法取引を結ぶことを阻止するのも極めて困難であるとみてよい。

 さらに、トランプ前大統領は大統領に就任した場合、米司法省に20年大統領選挙の結果を共謀して覆そうとした疑いに関する捜査取り下げを指示できるが、ジョージア州においては捜査中止を命じることができない。この点も看過できない。


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