2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2023年8月22日

テレビ中継の可能性

 第3に、3回目の連邦レベルの起訴とは異なり、4回目のジョージア州でのトランプ裁判が、テレビ中継される可能性がある。仮にそうなった場合、24年米大統領選挙にどのような影響を与えるのだろうか。

 トランプ前大統領は、裁判所を選挙運動の「場」に変える戦略をとるかもしれない。トランプ裁判を「魔女狩り」および「政治的迫害」に見せる絶好の機会であるからだ。自身を裁判で、「闇の国家(Deep State)」の犠牲者として演出することもできる。これらはトランプ氏が最も得意とするところだ。

 裁判を通じて、トランプ前大統領は「私はあなたのために起訴された。あなたのために犠牲者になった」というメッセージをMAGA(Make America Great Again:「米国を再び偉大にする」運動に参加しているトランプ支持者)に送り、彼らの結束を図ることは確かだ。腐敗したバイデン政権と一族の犠牲になったというメッセージは、資金集めにも効果的である。トランプ前大統領は、裁判を選挙戦略に組み入れた戦略を実現するだろう。

「裁判の日程」と「陪審員の人種構成」

 第4に、2人の裁判官である。米連邦議会議事堂襲撃事件に関するトランプ裁判を担当するタニア・チャトカン判事(61)は、ジャマイカ出身の女性判事で、バラク・オバマ元大統領によって任命され、14年6月首都ワシントン特別区の検事の職に就いた。

 米メディアによれば、チャトカン判事は米連邦議会議事堂襲撃事件に参加したトランプ支持者の内、少なくとも38名を有罪と決定している。検察官の求刑よりも厳しい判決を下したケースがあり、「タフな裁判官」とみられている。

 そこで、トランプ氏弁護団はレッドステート(赤は共和党のシンボルカラー、共和党が圧倒的に強い州)のウエスト・バージニア州で裁判を行うことを求めている。

 一方、ジョージア州でのトランプ裁判を担当するのは、無作為に選ばれた新人のスコット・マカフィー判事(34)である。マカフィー判事は22年12月、同州のブライアン・ケンプ知事(共和党)によってフルトン郡上位裁判所の判事に任命された。ケンプ知事は20年米大統領選挙に関して、「トランプ前大統領は選挙に敗れた。不正はなかった」と主張している。

 チャトカン判事とマカフィー判事が決定する「裁判の日程」と無作為に選ばれた「陪審員の人種構成」が、24年米大統領選挙を左右する諸要因になることは違いない。

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