解体 ロシア外交

2013年9月9日

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 実際、外国人にも同法は容赦なく適応されている。たとえば、7月には、同性愛者擁護の映画を撮影していたオランダ人4人がこの法律に基づき拘束されたのだ。

物議を醸したイシンバエワの発言

 さらに、この問題をより深刻にしたのが、ロシアで開催された世界陸上における、8月15日の女子棒高跳び世界記録保持者であるエレーナ・イシンバエワの発言である。彼女は、引退の噂もささやかれ、フォーム改造にも苦しんでいたが何とか3度目の優勝を果たし、大会に花を添えていたが、別の意味で大きな注目を浴びてしまったのだ。

 同大会で、800メートルで銀メダルに輝いた米国のニック・シモンズ選手が「メダルを母国のLGBTの友人たちに捧げる」と述べ、同性愛宣伝禁止法に反対を表明したのに続き、スウェーデンの2人の選手がロシアの同性愛者支持を表明するため、LGBTの象徴である「虹色」のネイルで競技をしたのだ(なお、この2人のうち、決勝に残った女子走り高跳びのエマ・グリアン・トレガロ選手は、大会運営担当者側がスウェーデン陸上競技連盟に、選手が商業的ないし政治的シンボルを身に付けることは禁止されているとの規則を穏やかに示したことを受け、決勝にはネイルを赤色に塗って出場した)。さらに、ニュージーランドの短距離選手も衣服に虹色のリボンをつけて参加した。

 このような動きを受けて、インタビューで「反プロパガンダ法」について質問された、イシンバエワは「ソチ五輪に出場する選手は法を守るべきだ」と述べたのだ。その際、彼女は「もし街で同性愛の活動を認めれば、社会は恐ろしいことになる。何故なら、私たちは正常で標準的だから。男性は女性と、女性は男性と暮らしていて、それで全て上手くいく。歴史的に見ても、ロシアには何も問題がなかったし、今後も問題が生じることを私たちは望まない」という内容の発言をしたのである。

オバマ米大統領も強い批判を表明

 この発言は大きな物議を醸した。そのため、イシンバエワは翌日、「英語は母国語ではないので、発言内容が誤解された」として発言を事実上撤回し、「人々は他国の法律を順守すべきだ。特にその国にゲストとして招かれているときは」と、自分は言いたかったのだと釈明したが、問題は簡単には収束せず、ソチ五輪をボイコットすべきだという意見が諸外国で再燃したのである。

 そして、イシンバエワがユース五輪親善大使を務め、ソチ冬季五輪の選手村村長にも任命されていることもあり、国際オリンピック委員会(IOC)も彼女の発言を重く見ているようだ。9月4日には、IOCのジャック・ロゲ会長がイシンバエワの発言に対し、具体的な内容や時期には言及されていないとはいえ、何らかの処分を行なう可能性があることを示唆したことが報じられている。

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